なんだか連日いろいろあれあれで、うっかりと寝過ごして昼過ぎに会場到着した今回の趣味展。あとで聞くところによると、今回は特に開場直後の扶桑棚前はお行儀が悪くさんざんだったとという。まあ既に昼になり落ち着いた感じでゆっくり見ていく。お向かいの弘南堂書店さんが、前と同じく原稿の復刻版をばらしてバラで売っていたので、そこから鏡花と三島の原稿復刻をつまみ、銀装堂さんとこでは近代文学研究書がバカ安でゴロゴロしており、「谷崎潤一郎・宿命のエロス」とか学生の頃5千円で買ったのに500円とかであって、うたた感慨が深い。
そんなこんなで、その後、会場に居合わせた古書仲間とお茶しにいき、また夕方チラと覗いてお会計。
谷崎潤一郎複製色紙2枚セット300円
前にもこれ買ったことがあり、このブログでも記したことがあるが、今回は解説があり日本近代文学館編「日本文学色紙全集」（講談社）のひとつであることが判明した。このセットの一つだったわけだ。それから「近代文学手稿100選」のバラ売りから、鏡花「湯島詣」、三島由紀夫「鏡子の家」の原稿復刻版各300円。
谷崎潤一郎「吉野葛」（創元社：潤一郎六部集）限定380外凾欠印500円
平山蘆江「三味線芸談」（住吉書店）昭和27年8月15日筒カバ欠300円
「吉野葛」限定380部の六部集、いくら痛みあり印ありでも500円てのはどうなんだろうなあ。既に持っているけれども文化財保護ということで購入。和物は本当に人気がないな。そして蘆江は、ちょっと厚めの筒型カバー付が1500円であったけれども裸が300円ならばと。これも和綴本。
草村北星「濱子」（金港堂）明治37年10月7日6版裸500円
劇団浪曼劇場公演パンフ「ヴィーナス観測」1000円
「濱子」は家庭小説、コロタイプの口絵でこれが木版口絵なら高いのだろうけれども、いちおう明治文学資料として購入。「ヴィーナス観測」は浪曼劇場が解散する前の最後の公演。パンフ自体はとうに所持しているのだが、これは当時の道具帖と平面図が挟み込まれていたので購入。装置は秋山正。
こういう資料はなかなか入手できない。せめてこれが三島作品のであったらなあと思うけれども仕方ない。関係者から出たものなのだろうなあ。
三島佑一「谷崎潤一郎と大阪」（和泉書院）カバ帯400円
ケドゥーリー「ナショナリズム」（学文社）カバ2000円
実は「ナショナリズム」が目録注文品。ちょっとお勉強用に読んでおこうと思っていたんだが案外見かけず。実は今日買った本で一番高価な本。
開高健「夏の闇」（新潮社）特装版昭和47年5月25日凾小冊子包紙800円
「夏の闇」特装自体は、2500部あるそうでそこらで見かける。奥付の検印紙にKenと著者が自筆している。まあサイン代わりだが、このうち60部のみ私と書いたものがあって、それになるとお高い。
2500部じゃ特装もなにもと思うが、この本、ちょと変で、前所有者は2冊持っていたのであろうか。本書の扉は多色刷木版なのだが、本体とは別に、その頁をきれいに切り取ったものと自筆検印紙が挟まれていた。まあKenが二個あるということで購入してみたもの。この頃の同じような新潮社特装であれば、吉行みたいに背革の方が良かったなとか。
巌谷小波「私の今昔物語」（早稲田大学出版部）昭和3年11月1日凾欠300円
山本武利「GHQの検閲･諜報・宣伝工作」（岩波現代全書）カバ帯930円
小波のは前から一寸欲しかったもので、会場に凾付1500円であったけれども、お茶して帰りに田村書店の外ワゴン見たら裸が300円だったので購入したもの。野方第五尋常小学校の図書館ラベルが表紙に貼付されており、昭和21年に児童書として入った模様。児童書ではないのだが。小波の自伝的書物は数冊あって、いずれも硯友社の話が出てくるのでチラチラ読んでいる。山本武利のは出た時から欲しかったのをケチケチしてネットオークションで安く見つけて購入したもの。
最終的にはけっこうな買い物になってしまった。その後また会場で古書仲間と落ち合ってお茶に行く。花粉がなかなか酷い。
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ちょうど一週間前の3月17日、広島大学で催された第1回三島由紀夫とアダプテーション研究会で拙いながらも研究発表をしてきました。お世話になった先生方、ありがとうございました。ところで、初広島というわけで、これは大学堂書店とか行きたいなと思っていたんですが、翌日は日曜で結局アカデミイ書店にしか立ち寄れませんでした。発表先日も五反田遊古会に立ち寄ってから新幹線でという流れだったのが、荷物を多くしたくないというので文庫1冊と雑誌1冊のみ。
翌日ちょいと所用で大阪・日本橋の国立文楽劇場に立ち寄ったら、「蓼喰ふ虫」の碑があったのでパチリ。
