漁書日誌 3.0

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五反田展

本日は五反田古書展、初日である。
今回はけっこうな注文をしてしまっていた。全部当たるとかなりな散財になるなあという感じであったのである。会場には閉場45分前に到着。まずは外を10分くらい見てから、階上へ。

唐木順三「中世の文学」(筑摩叢書)帯ビニカバ200円
季刊雑誌「表象」創刊号・限定特製500部記番、背痛200円
ハッチオン「パロディの理論」(未来社)カバ630円
ジュネット「物語のディスクール」(水声社)カバ2000円
まずは外台および会場で購入したもの。唐木は、この他にも筑摩叢書の本がすべて200円であったが、もしかしたら「中世の文学」持っていたような。「表象」は2号の方はもう数年前に入手していたのだが、これでようよう揃った。しかし200円は背痛とはいえ安い。日夏耿之介なんかの一派がやっていた文学美術雑誌だが、結局2号で終刊。創刊号は特製500部とうたっているが、普及版もある。だが普及版と特製の違いがよくわからない。まあ手書きで限定番号入っている雑誌というのも少なかろう。当時としてはかなり気合いを入れたものだったのだろうなあ、と。2号の巻末には創刊号の贈呈リストが出ており、三島由紀夫ほかに送られていることがわかるのだが、それがちょっと面白い。
で、二階の会場ではお勉強用のものを。今更なにを的なジュネットとか。これはまあ安いからという以外の理由はない。「パロディの理論」はちょうど安く探していたし理想的価格だ。この他にも幾つか抱えていたのだが、なんとも恥ずかしいことに、帳場で計算して貰ったら財布にある以上の額になってしまい戻してしまった。で、あとは注文品である。

劇作オペラ「くさびら・班女」パンフレット1500円
井上忠雄他編「さそり座詩集」(スコルピオン社)昭和31年5月20日限定200部記番カバ
前者は牧野由多可による創作オペラ。昭和38年10月31日に砂防会館でやった公演のパンフレットである。三島由紀夫寄稿。この公演自体、決定版全集が出るまでは三島研究者に知られていなかったと思う。
それはそうと、珍らかな詩集が後者。これはと思って注文したのだが、運良く当たった。門司周辺の詩同人誌作品を集めたアンソロジー詩集なのだが、これに高橋睦郎の作品が収録されている。前に「眠りと犯しと落下と」を入手してから少しく興味を持っていたのである。昭和34年11月、詩人21歳の時に出した自費出版の処女詩集は「ミノ・あたしの雄牛」(砂漠詩人集団事務局、限定200部)だが、今回のアンソロジー詩集は、その二年前に遡る出版であり、共著ながら高橋睦郎の単行本としては最初のものであろう。かなり珍しいものではないか。

小山内薫「北欧旅日記」(春陽堂大正6年9月28日3版凾3500円
柳川春葉「家庭小説 母の心」(春陽堂明治38年8月20日初版裸口絵欠1000円
まずは小山内。大正5年12発行の「伯林夜話」が発禁になりそのあおりを処理しようとして出版したとの序文がある紀行文集。以前凾欠でこのくらいの値段で見かけていたが、今回凾の背が少し痛んでいたとはいえこの価格帯で凾付きでよかった。で、お次の「母の心」。これ、目録には「田の心」と誤植されていた。元々は清方の木版口絵がある本。これは抽選確認の時にハズレといわれた。が、会場で出品店のご主人に聞いてみると、口絵が欠だったので引っ込めて安くして棚に出しときました、だからもう売れていると思いますよとの由。えーっと、棚に行ってみると未だ残っているではないか。口絵が欠けてるという欠陥が判明したので、注文が幾つかあったそうだが潔く引っ込めたというのが、どういうアレでこんな目録表記になるんだという古書店が少なくない中でまことに誠実な見識をお持ちの店である。それがこういう形で入手に到るとはラッキーだった。
だがしかし、今回の買い物でまた一気に金欠警報発令である。