漁書日誌 3.0

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リブロ池袋本店夏の古本まつり+地下芝居

今日は沢山ある。
まずはリブロ池袋の古本まつり。しまった、というのは、今気づいたのだが、肝心の注文品の抽選結果聞くのを忘れていた。まあ夜は芝居を見に行く予定で焦っていたのであろう。その上今朝は、ドドドとネットオークションで落札したものも一気に届いたのである。
まずはネットオークションで落札したものと、お勉強用にネット古書店へ注文して届いたモノから。


アントワーヌ・コンパニョン「文学をめぐる理論と常識」(岩波書店)2000円
佐々木陽太郎「パスカルとサド 悲劇的世界観とその超克」(教文館)510円
荒木経惟「男と女の間には写真機がある」(太田出版)500円
中村古峡「迷信に陥るまで 擬似宗教の神学的批判」(大東出版社)昭和11年9月9日7版カバー付1000円
夏目漱石虞美人草」(春陽堂大正2年10月5日11版帙付印書込1000円
コンパニョンがネット古書店に注文したもの。ちょっとこれはしっかり読みたいと思う。「パスカルとサド」は以前から人に勧められていてネット古書店で注文しようかどうか迷っていたもので、安く買えてよかった。アラーキーのは元版希望だったが、この価格だったらねえ。古峡のは、どうも旧著?旧稿に手を入れたもののようだが、大本の第二次検挙をきっかけとして出版との由。新興宗教批判が大半で、後半には狐憑夢遊病民間信仰療法論などが入っている。そして、漱石。まあ全体的に痛みはあるが、この値段ならねえ。参考に元版持っとくくらいなら嬉しい買い物だ。帙もしっかりヒモも付いているし。橋口五葉木版装幀。
で、お次は、今日のリブロの収穫。まずは芝居の筋書き(プログラム)から…。

劇団NLT「デリケィト・バランス」200円
鴨下薫プロデュース「バージニア・ウルフなんてこわくない」チラシ・半券付200円
上演資料集「椿説弓張月」(国立劇場芸能調査室)210円
七月新派特別公演「橋づくし」昭和36年7月300円
三月大歌舞伎「胡蝶」昭和28年3月300円*
中村吉右衛門劇団大歌舞伎「地獄変」昭和28年12月300円*
芸術祭十一月大歌舞伎「鰯売恋曳網」昭和29年11月300円*
芸術祭十一月大歌舞伎「芙蓉露大内実記」昭和30年11月300円
すべて三島の由紀夫関連。NLTのは、三島脱退の頃のだが、三島情報が出ている。以前持っていたのが汚れていたので買い換え。鴨下薫は、松浦竹夫の弟子?で、自己プロデュース公演。三島寄稿。これはあんまり見かけないが、文学座脱退組が、NLT創立前に参加した公演なのだ。で、あとの新派、歌舞伎座の筋書きは三島演出か三島作の初演のもの。*印のは、歌舞伎座の番組案内やらチラシやら各紙の劇評切り抜きまでご丁寧にセットだったやつ。歌舞伎座の筋書きも、重複して持ってるのを比較すると、挿入写真の差異とかあれこれあるので安ければ買うようにしているのである。今日はこの他にも、同じ筋書きで、○○株式会社団体観劇、などと表紙に印刷されているバージョン(レア!)があったのだが、年月マジック書き込みがあったので逡巡の末に却下。しかしこんなのでレアもへったくれもあったものじゃないが、こんなこと書いてしまうのは相当ビョーキだな。そしてお次は本。

福田利子「吉原はこんな所でございました 廓の女たちの昭和史」(教養文庫)300円
山口昌男「知の遠近法」(岩波同時代ライブラリー)315円
桜井忠温「肉弾」(丁未出版社)大正8年5月20日220版凾300円
まあ文庫はどうでもよいか。「肉弾」は、古書展などでよく見かけるのだが、220版というのはかなりのベストセラーだなあと、明治大正期のヒット本として持っておこうということで購入。縮刷だが凾もついているしよいか。巻頭に乃木希典とか大隈重信とかの序文や揮毫が入っているのは知っていたが、米ルーズヴェルトの書簡(献呈御礼)まで入っている。英訳版も出ているしね。しかしこの出版社名、丁未=ていびと読むのだね。凾にデザインされているタイトルロゴのカエル人のようなのは何だろう。ちょっとカワイイ。

獅子文六「べつの鍵」(中央公論社)初版凾300円
ベッケル「クラクラの日記」(人文書院)重版カバ105円
雑誌「文学」(2000夏、2001夏)各315円
ワタクシとしては、「べつの鍵」が嬉しい。以前、昭和35年頃の「週刊公論」を読んでいたら、谷崎の「鍵」が猥褻で話題になっている時に「べつの鍵」なんていう小説が発表された、などという記事を読んでへえ〜と思ったものだが、今日バッタリ見つけた。しかも「鍵」と同じく中央公論社で、装幀も、ご覧の通りうっかり棟方志功か? などと思わせる、木版というか切り絵というかそういう調子の和風な思わせぶりな装幀(谷内六郎装)でたまげた。これは面白い!
いやしかし、安いとはいえ、塵も積もればなんとやらで、けっこうな散財である。今日の本だけで一万円近いではないか・・・この夏、乗り切れるのだろうか。それはさておき、六時半前に急いで会場を後にして、一路原宿へ。
原宿のリトルモア地下にて上演されている飴屋法水構成・演出の芝居「3人いる」を観る。13日間公演があって、今日は千秋楽。千秋楽だけあって混む。定員40名とあって予約していったのだが、今日は当日券含め百名以上入ったようだ。芝居は、多田淳之介作。最初、安部公房の「闖入者」というか「友達」みたいのかと思ったのだが、現代のドッペルゲンガーものというかアイデンティティ喪失ものというか…。この公演、13公演全て内容が違うらしい。キャストも違うのだが、それぞれ別の稽古をして臨んだ由。リピーターも少なくなかったようだ。貰ったチラシで、今秋飴屋演出の芝居があると知る。これまた行かなくては。

追記:結局注文していた、大蔵貢「わが芸と金と恋」カバ痛1575円はハズレた。