漁書日誌 3.0

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神田古本まつりから歌舞伎座へ

平成26年神田古本まつり特選古書即売展である。
いやー、今から8年くらい前であるならばまだしも、年を追うごとに掘り出し物を見つけづらくなって、なおかつ、これに代わるような一人展なども出来、正直、年に一度の古書のお祭り的な気分はかなり薄らいではいるのであるが、そうはいってもまあ。ということで、開場30分前に古書会館へ。なんというか、趣味展よりも列んでいる人少ないか…という感じであった。

とはいえ、あきつ書店なども出ているし、他にも目当ての書店がある。毎度の窓展のような感じで本を漁る。1冊300円で「文芸文化」がドッサリあったのを引き抜き、あれこれ調べて結局棚に戻す、などということもあった。お昼に出て、エチオピア並びのらーめん処くるりで味噌ラーメン大盛りなど食べ(今現在、一等気に入っているラーメン)、午後少し見てから、お会計。

谷崎潤一郎吉野葛」(創元社昭和12年12月20日限定370部記番外凾欠2000円
菊池寛「東京行進曲」(春陽堂昭和4年9月25日初版凾欠800円
近松秋江「文壇三十年」(千倉書房)昭和6年1月5日初版カバ欠2000円
六部集の「吉野葛」は外凾欠というだけで特に痛みもないのに安い。潤一郎のこういった和もの系の本はもう何年も前から軒並み値崩れ、特に六部集は署名が入ってないからでもあろうけれども、といって「蘆刈」も相場ガタ落ちだしなあ。素材から凝りに凝った美しい本であるが…。「蓼喰ふ虫」と「盲目物語」は持っているので、これで三冊揃ったか(六部といってるが結局三冊しか出ず、後に「聞書抄」が似たような判型で出た。戦争により紙質などはかなり悪いが一応既刊はこれを入れて四部としてもよいかも)。「東京行進曲」は前々から装幀が面白いので安く欲しかったもの。前の窓展にも棚にあったがこれの倍額くらいだったような。

岡本喜八「ななめがね」(文化服装学院出版局)昭和44年11月20日初版カバ400円
城夏子「薔薇の花の長い服」(東京新聞出版局)昭和50年7月1日初版カバビニカバ500円
「アール・ヴィヴァン」26号特集ミノトール300円
渡辺啓助・温・済「W・W・W」(ギャラリー・オキュルス)300円
城夏子のはいってしまったが、他にも編集社の回想本など幾つか格安であり欲しかったが場所などのことも考え断念。
で、上記のようにラーメン食べてから五反田へ向かう。
五反田散歩展初日。
注文していた川島幸希「署名本の世界」(日本古書通信社)凾10000円はハズレた。もうこの頃になると、朝イチで来たために寝不足であり、一時的な興奮が冷めてきてその反動とでもいおうか、ぐったりするほどの疲労感と眠さに苛まれ。

上坂冬子他「BG学ノート」(三一新書昭和36年4月10日初版帯200円
秋元潔「三島由紀夫《少年》述志、感傷主義の仮構と死」(七月堂)カバ凾著者手紙付500円
演劇雑誌「東宝」(昭44・9)200円
買ったのはこれだけ。「東宝」は菊田一夫脚色の「春の雪」台本掲載号。七月堂の本は、半年くらい前から見ていて、千円だったのが値下げしたので購入。著者が松永伍一に献呈した時の挨拶の手紙が入っている。一緒に写っている入江たか子「秘帖」(えくらん社)昭和36年3月1日発行和装凾付500円は、ネットオークションで落札したもの。先日、鏡花原作の映画「滝の白糸」を見て、白糸を演った入江たか子の艶笑文集だということでうっかり落札してしまったもの。
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さて、寝不足と疲労でグダグダになりながらも、都営浅草線で東銀座へ移動。今日は、十月大歌舞伎・夜の部での三島由紀夫作「鰯売恋曳網」を観に来たのである。勘三郎追善公演で、勘九郎七之助のコンビである。「鰯売」は、先代勘三郎の舞台を二回観たことがあった。四階席の天井桟敷、それも立ち見で、グダグダの身体には67分の上演時間でも堪えたが、先代のようにちょびちょびと笑いを含ませ(あたかもその場でのアドリブかのように)、七之助はキリッとした美しさで、なかなかよかったように思う。身体的にきつかったから、却って冷静に観られたところもあり、先程よかったとか言いながらも、全体的にはゴチャゴチャして無茶だなあ、とも思ったことであった。24日所見。明日25日が千秋楽。

三島ついでに。

山中湖文学の森・三島由紀夫文学館レイクサロン「細江英公薔薇刑』を中心に」@清渓2014年10月18日
これは先週の三島文学館でのイベント。天候にも恵まれ、久しぶりの三島文学館。ワタクシ、司会を務めさせていただきました。