漁書日誌 3.0

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桜も散った古書

先週は、散歩展には行けず本部会館でやっていたフリーダム展をチラと覗いただけ。しかもフリーダム展を知らずにぐろりや会と勘違いしており、思わず帳場の人に封筒を渡してしまったのであるが、あれは困っただろうな。

関山和夫「仏教と民間芸能」(白水叢書)カバ300円
佐藤弘夫「神国日本」(ちくま新書)カバ200円
岡倉覚三「日本の目覚め」(岩波文庫)カバ100円
林富士馬編「伊東静雄詩集」(旺文社文庫)カバ献呈署名200円
三島由紀夫「ラディゲの死」(新潮文庫)カバ帯改版初版200円
永井聖剛「自然主義のレトリック」(双文社)カバ帯2700円
西田毅編「近代日本のアポリア」(晃洋書房)カバ300円
金曜と土曜とフリーダム展では文庫本を買い、田村書店では花袋の研究書を買い、そして帰りに古書モールに立ち寄ってまた文庫を。そして合間に東京堂に立ち寄り新刊書である橋本陽介「物語論」(講談社選書メチエ)を購入したのであった。

物語論 基礎と応用 (講談社選書メチエ)

物語論 基礎と応用 (講談社選書メチエ)

お次は、ネットオークション落札品が届く。

大阪放送劇団関西実験劇場第4回公演プログラム700円
劇団青俳公演「快速船」プログラム半券付250円
大阪円形劇場・月光会公演プログラム350円
まずは演劇プログラム。大阪放送劇団のやつは三島由紀夫の「燈台」上演が含まれている。かなり初期の大阪のもので珍しい。こういうものがポンと出るのが面白いが、三島由紀夫と書いていなければ表紙写真見ただけでは三島のだと気がつく人はいないだろうなあ。「快速船」は御存知安部公房の戯曲で、これは初演のもの。大阪円形劇場・月光会は、大阪の劇団で、これは第13回公演として東京で堂本正樹作「甲賀三郎」と、木下順二の「夕鶴」を武智鉄二が脚色したものを上演した時のもの。1950年代の詩劇運動の流れの一環として、この辺の資料は興味を持って探索している。

谷崎潤一郎「倚松庵随筆」(創元社昭和7年4月15日初版凾付500円
横光利一「機械」(創元社昭和10年3月15日初版カバ1460円
これらもネットオークション落札品。「倚松庵随筆」は凾欠しか持っていなかったのでようやく。そして横光の「機械」は後版だが、この後版こそ欲しかった。重版はカバーのロゴデザインが変わるのだが、それはまあよいとして、創元社の廉価版シリーズについてはそのうちキチンと書いて発表したい。




これは「倚松庵随筆」。凾の木版刷り、本体表紙のエンボス的な加工、見返しの松葉の木版刷り、本文子持ち罫に欄外に注記というレイアウトなどなど。最近、和物装幀とでもいうべき装幀の古書が軒並み人気凋落、木版画の入ってないものは安くなっているが、この本などは細部に凝りに懲りまくっている。当時新興出版社であった創元社が谷崎の本を出したいと、まず出したのがこの本で、これで及第した創元社は後に「春琴抄」を出版することとなる。
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ところで、現在、東京古書会館2階で開催中の「寺山修司中城ふみ子中井英夫〜現代短歌の起点」展にも立ち寄ってきた。4月18日〜5月1日まで。基本的にこの三者の肉筆資料ほかの展示だが、「短歌」編集長であった中井がメインといってもよいのだろうか。一緒に「虚無への供物」出版記念会時の芳名帳も展示してあったが、三島由紀夫塚本邦雄の名前が無く、当時記名しなかったのかなどと思ったことであった。寺山修司ネフローゼで入院中に中井英夫へ送った手紙の「兄貴」という呼びかけなど、ここら辺も興味深い。
そういえば、木曜日深夜に帰宅してみると扶桑書房目録が届いていた。今回はこれはというブツが正にお安くゾロゾロ出ていたが、すべて手遅れであった。