漁書日誌 3.0

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アレレ・オケラ

いや実はお金がないから困っているこの時期にまたこんなものを買ってしまう。やはりビョーキなのであろう。
篠山紀信「オレレ・オララ」(集英社)初版背少褪色署名入3000円

近頃大道だ川田喜久治だ細江英公だと写真づいていて、その勢いからかもしれない。しかしこの書名は前から知っていたけれど、実は本体見るのは今回初めてで、ちょっとなにこれという表紙。まあそれはそれで、中身はなかなか面白かった。リオのカーニバルのドキュメントタッチな写真なのだが、いちいちついている篠山のキャプションが面白いのである。篠山では、やはり「篠山紀信と28人のおんなたち」が一等欲しく、まああれはそこそこ見かけるので、どれだけ安く入手出来るかにかけているのだが、何故か今回はおお署名入りだなどと買ってしまう。


発行日よりも前の日付のあるサイン。まあ実際の発行日だろう。大体一般的に、奥付発行日よりも前に実際に発売されるし。まあ当時のサインというわけだ。しかしこの人、30歳からずっとあのトレードマークのようなパーマの頭なのだなあ、と、思う。もしかして天然パーマなのか。それはともかく、昭和45年12月にふとリオ行きを思い立ったと、ここには記されている。三島由紀夫が死んですぐのことだ。篠山紀信は、三島生前にかなり三島の写真を撮影しており、幻の写真集「男の死」でも、撮影クレジットは篠山であった。例の「血と薔薇」特集男の死で、「聖セバスチァンの殉教」でよく知られたアノ写真である。あれはどこだったか、なんとか工業倶楽部とかの邸内で撮影したもので、確かコーディネーターは堀内誠一である。他にも篠山は三島の褌一枚やら全裸やらのヌード写真なんかも撮影しているが、そういうつき合いのある作家が、ああいう死に方をして、やはりある種ショックであったのではあるまいか。なにやら、リオ行きの裏には暗澹たる空気を払拭しようとか、そういう事情がありそうな・・・などと勘ぐってしまうのが悪い癖である。まあそんなことはどうでもよい。
ある種、こういう表向きの写真が篠山であったならば、それとは完全に違う向きのある種プライベートな写真を担当したのが、矢頭保であろう。ここいらへんは一応その写真集など集めたが、大体どういうプロフィールの人なのかもよくわからず、数年前、国内で出ているある英文雑誌でちょっとした矢頭特集が組まれて少し矢頭が紹介されていたのを見つけ、それを読みそもそもは日活の俳優だったことなど初めて知った覚えがある。その頃はまだ「裸祭り」凾付署名入が一万円ちょっとだった。その後、新装「夜想」の耽美特集で、改めて色々と知った。堂本正樹氏の著書によれば、矢頭撮影のプライベート版「聖セバスチァンの殉教」もある由。その後、一気に矢頭の写真集にプレミアが付いた感がある。未発表作を用いた矢頭新写真集発刊の噂も聞くが、どうなのだろう。