漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

西部古書展

目録で注文していたのは、ポニー・カセット文庫「春の雪」2100円。

これは安いだろう。入手出来てよかった。段ボールの外函の中には、タイトル金箔捺された布貼ケース。そこにCT五本。
なかなかデカイ。

三島系を高く付けている専門店では、これの十倍はしそうな……でもこれはちょいと欲しかったものである。というのも、これ、舞台の録音でもない。ラジオドラマの録音でもない。三島の生前に、このシリーズ?のために書き下ろしならぬ録りおろしされたものなのだ。当時の定価で一万円近いし、豪華なものだったのだろう。平幹に佐久間良子らとキャストも豪華。ちょうど、当時は春の雪も芸術座で前の年の年末に公演されていたし、その話題性にのっての発売だったのかもしれない。

ほかにも幾つか会場で買ったもの。

会場に、ATGのパンフである「アートシアター」が山のようにあった。すべて一冊1050円。普通500円以下だろうという「河あの裏切りが重く」とか「新・人間失格」とかも、または店によっては数千円つけるゴダールやら寺山やらのものも全て均一価格。ものによっては高いが、ものによってはお買い得かもしれない。かなりの冊数があったが、今回「アルファビル」のは初めて見たかもしれない。「田園に死す」「サード」は実は持っていないので買おうかなと迷ったがやめた。で、そんな中で結局購入したのは、「憂国小間使の日記」である。
これ、実は既に持ってはいるのだが、左上の映画タイトル記載のところ「小間使の日記」とのみなっていて「憂国」というのが抜けているのが、いままで古書店で見てきたワタクシの少ない経験からしても圧倒的多数で、両方入っているのはあんまり見かけない。

これは、どういう差なのだろうか。実は前々から疑問であった。もしかしたら、最初に封切りされた日劇文化と新宿文化の時のものと、その後の全国的にやった時のとが違っていてその差異なのではないか、とか、あれこれ思ってみたがよくわからない。で、今回実際に入手出来たので、中身を良く見てみたら、違いが一カ所だけあった。

末尾の方の広告が、ちょっと違いがあるのである。ということは、やっぱり印刷した時期がちょっと異なるのだろう。確か「憂国」は、最初どういう風に封切りするかという問題があって、まあやってみようということでブニュエルのこれと同時上映という形になったのではなかったか。それで封を開けたら、ブニュエルを圧倒的に超えて「憂国」が大入りになったという経緯がある。そう考えると両方入ってない方が最初のバージョンなのか……。(後日追記:両方入っているのが後版。ブニュエルと併映してみたら「憂国」が爆発的ヒットしパンフも売り切れたので、両方のタイトルを入れたパンフを後から刷って販売したとの由、アートシアター新宿の葛井欣士郎氏から直接うかがった)
「映画評論」の方は、特に1960年代のものは集めているので、安ければ買うようにしている。今回は「ハレンチ映画の解放区」特集で、「処女ゲバゲバ」シナリオ掲載の昭和44年7月号。210円也。