漁書日誌 3.0

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神保町ブックフリマなど

青空古本まつりが昨年に引き続き今年もコロナにより中止となった。そのなかでも、すずらん通りで毎年やっているブックフェスだが、出版社有志によって個別に開催ということで、これは昨年も漁りに行ったのである。そして、今年もあるというので、所用もあって赴いた。

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まずは白水社。何年前になるか、社内在庫(というか不良品交換用)の『閉ざされた城の中で語るイギリス人』特装版とか値切って安く買ったものであった。昨年は、白水社を囲むようにしてズラリと人が並んで(コロナ対策で)いるのを見て諦めてしまったが、今年はと向かってみると、今年も並んでいる。無理かなあと通り過ぎ、八木書店のところでやっている国書刊行会などの会場へ。ここも行列だが、聞くと15分くらいという。ここまで来たしと並ぶ。一律半額のところもあれば、2割引のところもある。定価の高い本はお得であろうが、ワタクシはこれといってなく、1冊のみ購入。

それからちょっと所用を済ませ、扶桑書房に。3冊100円コーナーが増補されており、そこから3冊抜きだして購入。

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露華生「一むかし」(榎本文庫)大正3年10月25日痛

新居格「街の抛物線」(尖端社)昭和6年4月15日4版

谷崎潤一郎「盲目物語」(中央公論社)昭和21年7月5日改訂版凾補修

榎本文庫というのは大阪の榎本書店のもので、古通豆本くらいの大きさ、折込の口絵が入っている「少女小説」。豆本のような感じで面白いと買ってみる。

それから、皓星社の会場へ向かう。書物関係の資料が出ると聞いていたが、むろん来るのが遅すぎた。それでも雑誌と文庫を買って、同じビルの階下にある会場へと思ったらすでに閉店後。

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堀江秀史「寺山修司の写真」(青土社)定価半額

徳富蘇峰「読書法」(講談社学術文庫)200円

「本の周辺」14,15号各200円

寺山のは八木書店のところ、他は皓星社のブースにて購入。「本の周辺」は青山虎之助インタビュー記事のためだが、14号の第一書房についての記事も面白い。

しかし、暗くなってから気付いたが、冨山房の会場と幻戯書房のブースに行くのを忘れた。特に後者、欲しい本があった…。まあしかし、あまり買わなかったのにも理由がある。というのは支払いがあったわけで。先だって来た扶桑目録の注文品である。

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小川未明「雪の線路を歩いて」(岡村書店)大正4年4月10日初版凾8000円

江見水蔭「自己中心明治文壇史」(博文館)昭和2年10月28日初版凾4000円

未明のこの本はようやく凾付を入手。ほぼ新書判の角背上製本。ちょっと判型が面白い。それから「自己中心」はここのところずっと探していたもの。ちょっと必要あって明治文壇回想系を手当たり次第読んでいるのだが、これも、角川だったかの文学全集ものに収録されているのは抄録で、こちらの元本が凾欠千円くらいでないかと気をつけていたのだが、たまに妙に高いプレミア価のものが出たりして相場もよくわからなかったのである。これはいろいろ面白そう。

というようなことで、結構な古書を買ってしまっていたのであった。

特選古書即売展のみ

コロナの影響で、靖国通りの古本まつり、すずらん通りのブックフェスは中止。しかしながら、古書会館での特選は開催と。ということで、今日は特選の初日、朝イチで向かう。しかし地元のバスがかなり遅れ気味であったせいで、開場後に到着になってしまった。しかし今日は寒い。一寸前までTシャツでよかった気候が急に冬といった塩梅。しかも今日は雨。開場直後はけっこう人はいたが、まあ普通の即売展の朝イチくらいの混み具合か。

あきつを始めとして午前中はじっくりと見る。お昼はマルカにうどんを食べに行き、一服してからリバースを漁ってお会計。

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中村正直訳「西国立志編」(自由閣)明治20年5月2日3刻400円

福地桜痴「増訂 もしや草紙」(日報社)明治21年11月22日1頁欠コピー補300円

森鴎外訳「寂しき人々」(金尾文淵堂)明治44年7月20日400円

西国立志編」は総クロス装だったので。「もしや草紙」は中に多数挿入されている石版挿絵が面白かったので、1頁コピーで補ってあるが問題なし。「寂しき人々」は前々からこの元版が欲しかったがケチケチして見送っていたもの。少し見返しに痛みがあるがこの価格は破格だろう。

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永井荷風「歓楽」(易風社)奥付欠再製本300円

谷崎潤一郎「芸術一家言」(金星堂)大正11年10月20日初版凾3000円

北村兼子「ひげ」(改善社)昭和4年3月5日凾欠少痛500円

「日本名作小説」第1集(昭和23年10月15日)300円

「歓楽」は発禁本。ボロボロのは既に持っているが、奥付欠で再製本とはいえこれは安いだろうと。それから「芸術一家言」、もちろん、既に初版凾付は所持しているのだが、これは異装本。普通このシリーズは布装で背題簽なのだが、これは紙装。実はこの紙装本、背が真っ二つに割れた凾欠本であれば持っていたのだが、凾付は初めて見た。しかも黄色い凾。そしてちょっと面白資料を発見。

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「砂絵呪縛 第二篇」台本(無刊記)400円

土師清二を原作とした阪妻プロの映画「砂絵呪縛 第二篇」(高橋寿光監督、1927)の活弁用台本かと思われる。大塚映画社の印がある。表紙の8の印は第8巻からという意味。ちょっと面白いし、この安さなら参考資料として持っておきたいと購入。

他にもいろいろと面白そうなものがあったが、ケチケチしてこれだけに絞ったもの。

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以下は、ネットオークションで落札したもの。

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齋藤磯雄「ボオドレエル研究」(東京創元社)昭和46年6月30日限定200部凾外凾2100円

生田耕作訳「初稿 眼球譚」(奢灞都館)昭和52年11月5日初凾3000円

「ボオドレエル研究」は欲しかった特装。総革装天金、著者署名入り記番。特装といっても普及版を総革装天金にしただけのような本。外箱もあるがボロい。ああいう無粋な段ボール外箱を書棚に並べたくない…そして「眼球譚」の方は奢灞都館の本のなかで一番好きな装幀。この本には2刷もある。既に所持しているが少しでもキレイな状態を求めて買ってしまった。こちらの出費もあるので会場では控えめにしたというのもある。

 

雑本堀りの五反田

今日初日の古書展は、久しぶりの五反田散歩展とぐろりや会。神保町と五反田どちらをとくれば、まずは五反田を選ぶ。事実毎回そうだというわけではないのだが、五反田は雑本が多くて面白いというイメージがあるからだ。暑いのか寒いのかといわれれば、日中は半袖で十分だが、陽が落ちれば長袖かという塩梅の気温。

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16時50分くらいに五反田の会場へ到着。注文品は無し。まずは1階のガレージから。いつもはザッとながすのだが、久しぶりというのもあり、またゴチャゴチャと面白そうなものもあってついついここで30分も見てしまう。

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「いんさつ」(内外出版印刷株式会社)昭和5年5月25日痛破100円

奇譚クラブ」昭和29年5月号7月号、昭和30年1月号切取りあり各100円

奇譚クラブ」昭和29年8月号200円

山路愛山三宅雪嶺氏の世の中」(敬文館:名著梗概及評論)大正4年2月18日200円

生田耕作訳「閉ざされた城の中で語る英吉利人」(中公文庫)200円

「名著梗概及評論」シリーズは、アカギ叢書的なあんちょこ本ではあるが、クロス装。この値段なら参考にと。「いんさつ」は内外出版印刷の創立10周年記念の非売本。活版印刷の歴史に加え、印刷見本、書体見本などで構成されている。痛みがあるが100円ならば。それから奇譚クラブは白表紙前のやつ。絵が1箇所切り取られているのが100円で切取り無しが200円というのは安い。この辺りのものは昭和30年代初頭くらいまでのものが安ければ買うようにしている。で、2階の会場へ。

こちらも雑本が安く、いちいちチェックしていたりするとどんどん時間が過ぎていくのだが、そう、こうやって雑本の山を掘り返して漁っていくのが古書展の面白さであるし、久々であるということもあってじっくり見ていたらあっと言う間に閉場時間になってしまう。それでも数冊。

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大橋乙羽「欧山米水」(博文館)明治33年12月23日初版1000円

斎藤緑雨「あられ酒」(博文館)明治35年8月10日4版300円

袖珍文庫「梅暦」(集文館)大正3年7月10日初版300円

東京市編纂「大詔を拝して」(帝都復興叢書刊行会)大正12年12月25日200円

「文芸市場」世界でかめろん号(昭和2年9+10月合併号)200円

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石原慎太郎「巷の神々」(サンケイ新聞社)昭和42年10月15日2版カバ200円

野次馬旅団編「戯歌番外地」(三一新書)昭和45年6月15日初版カバ200円

「欧山米水」は千円もしたが、これはちょっと欲しかった本なので特別。欲しかったというのは、この本は当時の博文館の印刷、製本、出版の技術の塊のようなもので、木版印刷のある絹?とクロスの継表紙に桜の紋のある革紐による大和綴本。半分は輸入アート紙への写真図版、また木版印刷、石版印刷などさまざまに趣向が凝らしてある。ほかは赤瀬川原平装幀挿絵による三一新書。イラスト口絵まで付いている。それから「巷の神々」は15年くらい前に3000円だったかで購入したが、その後復刊され、古書価は落ちた。新興宗教のドキュメント本だがキレイなのが200円だったので買ってしまう。それからまた帝都復興叢書というのは知らない本で参考のために買ってみた。3千円も超えてしまったが、こんなに雑本を買ってどうするのか。パンパンになった重い鞄を持って帰途に就いたのであった。

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福田大輔「筋肉のメランコリー—ラカンとともに読む三島由紀夫」(晃洋書房

ご恵送いただきました。ありがとうございます。

 

十月でもTシャツ

十月初旬だというのに、長袖シャツでは汗をかく。朝夕はいくぶん涼しくなったとはいえ、昼は暑い。月曜日、仕事を終えて図書館に立ちより、23時近くに帰宅してみると扶桑書房の目録が届いていた。東京朝日新聞の連載切り抜き特集があり、谷崎作品のなかで一番好きな「金色の死」切り抜き揃いが出ていた。コピーでは持っているが、先着順だしもうこの時間ではないかと、ほか数点と友にFAXで注文した。3点注文して1点のみ残っていた。

それで、金曜日は久しぶりの古書展である。城南古書展。閉場1時間前くらいに会場へ。入口では検温をやっている。さすがに感染者数が劇的に減ったとはいえ、ブレイクスルーだのなんだのとある。で、ザーッと見て行く。扶桑への支払いもあり、財布は引き締めたいところ。

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サド「美しき残虐」(大和出版社)昭和29年4月1日5版カバ帯破200円

土方鉄「部落」(新報新書)昭和44年8月20日3刷カバ帯200円

子母沢寛「ふところ手帖」「続ふところ手帖」(中公文庫)カバ各100円

キネマ旬報」昭和41年5月下旬号、200円

サドのは実は初めて見た翻訳本。「恋の罪」の抄訳らしいが、いかにもカストリ的で中には折込カラー挿絵なども入っている。澁澤以前のサド。新書のは戦前戦中の最下層の靴職人の話だが、悲壮感がなくひとつのドキュメントとして。「キネマ旬報」は映画「複雑な彼」シナリオ掲載号なので購入。

日夏耿之介文集」(ちくま学芸文庫)1050円

高田瑞穂「現代文読解の根底」(ちくま学芸文庫)630円

こちらのちくま学芸文庫2冊は帰り際にブックオフに立ち寄ったらあったもので、思わず買ってしまう。

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「新思潮」3号、10000円

これが扶桑目録で注文し残っていたもの。谷崎潤一郎「刺青」の初出。実は数年前に同じく扶桑目録で同じものを購入し所持してはいるが水ムレのほか決して状態は良くなかった。今回のは状態が頗るよい。懐を直撃する出費だが、これは致し方ない。

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最近買った新刊書。

 

 

 

「反逆〜」も「現代美術〜」も元版は持っている。しかし文庫化に際して増補されたり改訳されたりして、結局、本の置場に困っている現在、コンパクトで増補版ならそちらでという感じがあって出費を重ねてしまう。

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発売前に著者からご恵贈頂きました。ありがとうございます。物語にグイグイ引きずられていく読書的昂奮だけではなく、戦後のアメリカ文学史と作家のスキャンダルとに少なからず興味のある人には二重三重に面白く味わえ、しかも本全体にピエール・ルイス風味のスパイスもきいているという、デビュー作にして虚実皮膜に凝りに凝った小説です。

 

和洋会開場

少し歩くとあせがふきでるような暑さはあるものの。日差しはすでに秋のそれである。9月一杯の緊急事態宣言で、五反田など(高円寺を除いて)軒並み古書展は会場販売中止となっているが、解除目前にして和洋会が販売を開始。五反田も和洋会も目録注文していたので、これまた久しぶりに古書会館へ。その前に野暮用でチラと扶桑事務所に立ちより3冊100円コーナーから3冊選ぶ。

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与謝野鉄幹「うもれ木」(博文館)明治38年8月25日再版背補修印

田村成義「劇壇秘史 無線電話」(玄文社)大正7年10月25日再版凾欠

二反長半「雪ちり撒く」(日の出書房)昭和21年4月10日

「無線電話」は青蛙房から再刊されているけれども、本体背表紙には「劇壇秘史」の角書き、扉には「演芸逸史」の角書き(奥付に書名記載は無し)とある。どちらが正しいのかはわからない(ちなみに再刊本は「芸界通信」の角書き、ただし中身は増補版)。

で、古書会館へ。

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一ヶ月以上ぶりか。前はこの自動ドアの向こう側にすぐあった検温器、名前確認などはなかった。地下降りた会場入口のところに検温器があるのみ。で、ザーッと会場を見ていく。まずは注文品の確認。当たり。しかし「背破れ」と目録に記載されていたけれども実際は背欠を雑に補修した感じ。相応の価格か。

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今古実録「大岡仁政録」(栄泉社)明治17年4月10日御届300円

渡辺政吉編「高等小学新体算術」(金港堂)明治28年12月18日100円

安成二郎「恋の絵巻」(日本評論社出版部)大正8年4月15日初版凾欠背欠補修4000円

ユリイカ」特集・未来派300円

「美術フォーラム21」2号特集・美術批評の歴史と現在500円

4000円のものが当たってしまったからなあと思っていたが、ついついこれだけ買ってしまう。教科書は参考用。今古実録は芳幾表紙。

会計を済ませてから、田村書店の外ワゴンを覗く。

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有島生馬「海村」(改造社昭和2年10月10日初版帙入400円

ラディゲ「ドルヂェル伯の舞踏会」(白水社昭和13年1月28日初版300円

ラディゲのは上製本で持っているが、三島が読書したのはこちらのバージョンなので購入。「海村」という本は存在いたい知らなかった。帙入り上下二冊、長細い唐本仕立ての装釘。装釘に興味あり安いからと購入。

しかし重い。東京堂をチラッと見て、喫茶店で一服してから、今度はこの荷物を抱えて国会図書館へ向かう。

図録と告知

中原中也記念館に注文していた図録が届いた。

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「書物の在る処—中也詩集とブックデザイン」新品定価

28ページの冊子だが、中也自体、「山羊の歌」「在りし日の歌」にランボオ翻訳3冊しかないのでそれは致し方ないところではあるけれども、関連で秋朱之介やら野田書房やらを紹介しているのが興味深い。とりわけ内堀弘さんの秋朱之介にまつわる文章は読んでおきたかった。

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こちらは最近必要あって、またはお勉強用にヤフオクマケプレなどで購入した本。

 

 

最近買った新書。後者はちくま新書で明治大正昭和と続いている一種のシリーズだが、この文化篇の目次がなかなか面白いラインナップ。

 

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以下、三島文学関連講座の告知

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内海健×井上隆史「「金閣寺」の深層 三島由紀夫を読み直す」

2021/9/25土曜 15:30~17:00オンライン講座(要申込)

「戦後の占領期に実際に起きた放火事件に取材した「金閣寺」は、三島文学を代表する、いかにも三島的な作品の一つです。それは人間存在の闇と光を表現する小説であり、同時に、時代と社会を捉えた小説でもあります。 今回、 モデルとなった一人の青年の存在に寄り添いながら 放火事件と作品との関係を紐解いた精神科医内海健氏とともに、なぜ「金閣寺」は小説として成功し、発表後半世紀以上を経た今も、時空や言語の壁を越えて世界各地の読者の心を揺さぶり続けるのか、その秘密に迫ります。」

会場は早々に満席になりzoomによるオンラインのみ受付中(上記タイトルリンク)。

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また、こちらは私事で恐縮ながら、ワタクシも昨年に続いて東大島文化センターにて連続講座を年末におこないます。

山中剛史「続・三島由紀夫 短編作品の魅力に迫る」

2021/11/12() ~2022/1/14()のうち金曜日全5回@東大島文化センター(要申込)

新潮文庫「殉教」をテキストに、三島文学のうちでもその短篇の魅力に迫ります。こちらは会場対面形式のみ(今後の状況によっては予定変更などあり)。

夏の終末の古書

扶桑書房目録が来た。いまやっている原稿用に資料や先行研究系の本などを買わなくてはならず、なかなか予算的にもキツイところであったが、2点注文。それが届いた。

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菊池幽芳「乳姉妹 前篇」(春陽堂明治38年3月10日8版裸

    「乳姉妹 後篇」(春陽堂明治38年2月26日6版裸2冊揃3500円

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「文芸丹頂」昭和23年4月1日創刊号3000円

「文芸丹頂」は三島の短篇の初出誌。「乳姉妹」は前篇口絵は石版と写真を組み合わせたもの。後篇口絵は鏑木清方の木版。後篇口絵欠のものであれば、前に安く買って既に持っている。木版口絵欠の家庭小説本は探せばかなり安めで入手できるのだが、木版口絵がついていると一気に価格が上がる傾向がある(もちろん絵柄、作家による)。「乳姉妹」は版を重ねよく見かける本ではあるが、それでも前はカバ欠揃で今回の3倍くらいしていたものである。

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ただこれは明治期の家庭小説本あるあるなのだが、2冊〜3冊組のもので、前篇、後篇と刊行されるからか、同じ版でも表紙の色が変わるということがある。例えば、わかりやすく極端な話をすれば、前篇初版が表紙青、数ヶ月後に前篇再版が表紙黄色になりそのころに後篇初版が出ると、後篇初版は表紙が黄色になったりということである。つまり、その時に出ている版で色を揃えることがままあるようで、だから、初版で前篇後篇揃えると、色が違ってしまうことがあるのである。もちろん、カバーがあれば外見上揃っているわけで問題はないのだろうけれども、外装がなくなってみると何ともアンバランスな感じになる。

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青表紙は前篇(明治37年12月30日6版)、茶表紙は今回入手の後篇6版。版を揃えても、表紙クロスの色、箔押しの色も異なっている。

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「螺旋の器」7号—ロベール・ド・モンテスキウ=フザンサック伯爵没後100周年記念特輯1500円

直接注文のみ販売。毎回楽しみにしている雑誌。レニエやシモンズのモンテスキュー論やら与謝野寛訳の詩篇など。とりわけ小野さんのフランス洋書購入記を面白く読んだ。

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小栗孝則訳「新編シラー詩抄」(改造文庫昭和12年7月20日初版500円

これはオークションだが、しばらく安く探していた本。太宰治走れメロス」の種本である。