漁書日誌 3.0

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十月でもTシャツ

十月初旬だというのに、長袖シャツでは汗をかく。朝夕はいくぶん涼しくなったとはいえ、昼は暑い。月曜日、仕事を終えて図書館に立ちより、23時近くに帰宅してみると扶桑書房の目録が届いていた。東京朝日新聞の連載切り抜き特集があり、谷崎作品のなかで一番好きな「金色の死」切り抜き揃いが出ていた。コピーでは持っているが、先着順だしもうこの時間ではないかと、ほか数点と友にFAXで注文した。3点注文して1点のみ残っていた。

それで、金曜日は久しぶりの古書展である。城南古書展。閉場1時間前くらいに会場へ。入口では検温をやっている。さすがに感染者数が劇的に減ったとはいえ、ブレイクスルーだのなんだのとある。で、ザーッと見て行く。扶桑への支払いもあり、財布は引き締めたいところ。

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サド「美しき残虐」(大和出版社)昭和29年4月1日5版カバ帯破200円

土方鉄「部落」(新報新書)昭和44年8月20日3刷カバ帯200円

子母沢寛「ふところ手帖」「続ふところ手帖」(中公文庫)カバ各100円

キネマ旬報」昭和41年5月下旬号、200円

サドのは実は初めて見た翻訳本。「恋の罪」の抄訳らしいが、いかにもカストリ的で中には折込カラー挿絵なども入っている。澁澤以前のサド。新書のは戦前戦中の最下層の靴職人の話だが、悲壮感がなくひとつのドキュメントとして。「キネマ旬報」は映画「複雑な彼」シナリオ掲載号なので購入。

日夏耿之介文集」(ちくま学芸文庫)1050円

高田瑞穂「現代文読解の根底」(ちくま学芸文庫)630円

こちらのちくま学芸文庫2冊は帰り際にブックオフに立ち寄ったらあったもので、思わず買ってしまう。

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「新思潮」3号、10000円

これが扶桑目録で注文し残っていたもの。谷崎潤一郎「刺青」の初出。実は数年前に同じく扶桑目録で同じものを購入し所持してはいるが水ムレのほか決して状態は良くなかった。今回のは状態が頗るよい。懐を直撃する出費だが、これは致し方ない。

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最近買った新刊書。

 

 

 

「反逆〜」も「現代美術〜」も元版は持っている。しかし文庫化に際して増補されたり改訳されたりして、結局、本の置場に困っている現在、コンパクトで増補版ならそちらでという感じがあって出費を重ねてしまう。

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発売前に著者からご恵贈頂きました。ありがとうございます。物語にグイグイ引きずられていく読書的昂奮だけではなく、戦後のアメリカ文学史と作家のスキャンダルとに少なからず興味のある人には二重三重に面白く味わえ、しかも本全体にピエール・ルイス風味のスパイスもきいているという、デビュー作にして虚実皮膜に凝りに凝った小説です。