漁書日誌 3.0

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雑本堀りの五反田

今日初日の古書展は、久しぶりの五反田散歩展とぐろりや会。神保町と五反田どちらをとくれば、まずは五反田を選ぶ。事実毎回そうだというわけではないのだが、五反田は雑本が多くて面白いというイメージがあるからだ。暑いのか寒いのかといわれれば、日中は半袖で十分だが、陽が落ちれば長袖かという塩梅の気温。

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16時50分くらいに五反田の会場へ到着。注文品は無し。まずは1階のガレージから。いつもはザッとながすのだが、久しぶりというのもあり、またゴチャゴチャと面白そうなものもあってついついここで30分も見てしまう。

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「いんさつ」(内外出版印刷株式会社)昭和5年5月25日痛破100円

奇譚クラブ」昭和29年5月号7月号、昭和30年1月号切取りあり各100円

奇譚クラブ」昭和29年8月号200円

山路愛山三宅雪嶺氏の世の中」(敬文館:名著梗概及評論)大正4年2月18日200円

生田耕作訳「閉ざされた城の中で語る英吉利人」(中公文庫)200円

「名著梗概及評論」シリーズは、アカギ叢書的なあんちょこ本ではあるが、クロス装。この値段なら参考にと。「いんさつ」は内外出版印刷の創立10周年記念の非売本。活版印刷の歴史に加え、印刷見本、書体見本などで構成されている。痛みがあるが100円ならば。それから奇譚クラブは白表紙前のやつ。絵が1箇所切り取られているのが100円で切取り無しが200円というのは安い。この辺りのものは昭和30年代初頭くらいまでのものが安ければ買うようにしている。で、2階の会場へ。

こちらも雑本が安く、いちいちチェックしていたりするとどんどん時間が過ぎていくのだが、そう、こうやって雑本の山を掘り返して漁っていくのが古書展の面白さであるし、久々であるということもあってじっくり見ていたらあっと言う間に閉場時間になってしまう。それでも数冊。

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大橋乙羽「欧山米水」(博文館)明治33年12月23日初版1000円

斎藤緑雨「あられ酒」(博文館)明治35年8月10日4版300円

袖珍文庫「梅暦」(集文館)大正3年7月10日初版300円

東京市編纂「大詔を拝して」(帝都復興叢書刊行会)大正12年12月25日200円

「文芸市場」世界でかめろん号(昭和2年9+10月合併号)200円

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石原慎太郎「巷の神々」(サンケイ新聞社)昭和42年10月15日2版カバ200円

野次馬旅団編「戯歌番外地」(三一新書)昭和45年6月15日初版カバ200円

「欧山米水」は千円もしたが、これはちょっと欲しかった本なので特別。欲しかったというのは、この本は当時の博文館の印刷、製本、出版の技術の塊のようなもので、木版印刷のある絹?とクロスの継表紙に桜の紋のある革紐による大和綴本。半分は輸入アート紙への写真図版、また木版印刷、石版印刷などさまざまに趣向が凝らしてある。ほかは赤瀬川原平装幀挿絵による三一新書。イラスト口絵まで付いている。それから「巷の神々」は15年くらい前に3000円だったかで購入したが、その後復刊され、古書価は落ちた。新興宗教のドキュメント本だがキレイなのが200円だったので買ってしまう。それからまた帝都復興叢書というのは知らない本で参考のために買ってみた。3千円も超えてしまったが、こんなに雑本を買ってどうするのか。パンパンになった重い鞄を持って帰途に就いたのであった。

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福田大輔「筋肉のメランコリー—ラカンとともに読む三島由紀夫」(晃洋書房

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