暑い。もう梅雨入り宣言だという。さいわい金曜日は降らなかったが、夜半から雨、週末にかけて雨なのである。で、いつものように開場10時の10分前くらいに到着。まずは下まで降りて荷物を預け、荷物札をもらって列の最後尾に並ぶ。が、わたしの前で同じように荷物を預けにいった爺さん、トイレの前あたりでストップ。戻らないのである。わたしのうしろにいた同じように荷物預けにいった男は、途中で知り合いにあったものかその場に立ち止まり並んでいる男とお喋り通しなんと開場まで立ち話、しかも割り込んで入場していた。別の、並んでいる時にトイレに行ってそのままトイレの窪みのところに止まっていた爺さん2人はきちんと最後尾まで?待っていて途中に割り込むことはなかったが、窓展(ほかのもか)こういう割り込み上等の爺さんどもが目立つ。マナーもへったくれもないし、誰も当然のように受け入れ、自分の前に割り込まれても何も言わない。昔からこうなのかは知れないが、団塊世代の老害はここにも確実にいる。楽しみにしている古書展も始まる前から嫌な気になるので本当に最低だ。己の足腰が弱くなるにつれ世間から寛容に接せられるのは当然だという傲慢さが根底にあるのだろう。
あきつ書店の前で棚を見ていても、肘を横に突っ張りだし横に人を入れないように押してくるのは爺さんである。いまは以前ほど押し合いへし合いではないのだが、こういうのが今でも1人は必ずいる。「押すな」と言いながら自分で肘で押してくるので「押しているのはあんただろうが」とやり返したら黙って最前列から離脱していった。好きな古書のことを書くのに、こんなことを書きたくもなければ思い出したくもないが、これが実情である。
で、上記のようにまずはあきつ書店の棚を見てからじっくりと会場全体を見て回って、お昼にいったん帳場に取り置きしてもらい、友人とお茶して、古書会館2階の吉田健一展をまた見てから、再度会場を回って、お会計。

吉川庄一郎「男女の煩悶 相談の相談」(求光閣)大正2年3月25日5版裸500円
若林姫路校訂「賤のおだまき」(文教社)大正5年2月29日200円
「賤のおだまき」はその安さから。「相談の相談」というのは、都新聞に寄せられたお悩みコーナーへの投稿とそれへの回答集というもので、当時の庶民のリアルな人間模様などが見えてきて面白い。

太田三郎「スケッチ画法」(弘成館書店)明治40年3月20日4版300円
長田幹彦「零落」(現代名作集)大正3年11月13日初版落丁100円
「スケッチ画法」は、台紙に別刷の絵が貼付という形で複数枚入っているもので、欠けはなさそう。現代名作集はご存知鈴木三重吉の自費出版シリーズだが、会場には重版とこちらの落丁100円の初版があり、まあこちらでいいかと。

尾上紫舟編「ハイネノ詩」(新声社)明治34年12月5日再販400円
高野巽編「新婚旅行」」(小川尚栄堂)明治35年5月20日3版300円
高野巽編「三美人」(小川尚栄堂)明治35年6月12日再販300円
高野巽編「大火山探検」(小川尚栄堂)明治35年7月23日初版300円
ハイネは別だが、他の高野巽編のものはすべて「英文の友」のシリーズ第1〜3編。縦長の判型で、左びらき。英文の本文(挿絵入り)の後に、細かい単語や言い回しに関する「註解」がついているというもので、英米の大衆小説の短編などを教科書的に英語の勉強のために出版されていたシリーズのようである。それは、以下に紹介する「英文愛読叢書」も同じ。

高野巽編「愛しき妻」(上田屋書店)明治35年2月7日初版300円
高野巽編「危機一髪」(上田屋書店)明治35年2月28日初版300円
高野巽編「貴公子」(上田屋書店)明治35年6月30日初版300円
高野巽編「さゝやき」(上田屋書店)明治35年7月24日初版300円
こちらは2〜3編、6編と「号外夏の巻」の4冊。実はこれ昨年にも買っていて4〜5編は持っていたので残りはラス1かもしれない。すべて同じ体裁で、小口がそのまんまのもあればきれいに化粧断ちされているのもあり。

「英文の友」も「英文愛読叢書」も同じく高野巽による「著作」名義。裏表紙は日本語だが表の表紙はおそらくはネタ元のものであろう多色刷りの表紙になっている。
で、お会計前に立ち寄った古書会館2階で開催中の吉田健一展に立ち寄ると、ほとんど人もおらず、会場の方とこれは帯が珍しいだのなんだのと話に付き合ってくれた上に、ガラスケースから出して限定本などを触らせていただいた。そしてなんとポスターまで頂戴した。

これは「残光」の三島由紀夫宛署名本。三茶経由だという。「残光」は三島と吉田の決裂後の発行。
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伊藤氏貴「同性愛文学の系譜」(勉誠出版)カバ帯2082円
マークス(黒木章人訳)「STATES AND CULTURE」(筑摩書房)カバ帯2700円
以上はネットで購入した古本。お勉強用である。

こちらは「黒蜥蜴」「黒薔薇の館」DVD化記念での一週間限定フィルム上映があるというので、「黒蜥蜴」を見に、水曜日に文化村ル・シネマ渋谷宮下に行ってきた。木曜日が最終日だったのだが、期間延長とのこと。