漁書日誌 3.0

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台風前の趣味展

本日は趣味展。朝イチに列ばなければの即売展である。しかしまあいつもの具合で9時45分に会場到着してみると、今日はちょっと混んでいるかなという感じ。30人くらい多いか。いつもは中年以上の男性客ばかりだが、今日はチラホラと30未満?くらいの男性が見えた。なんだろう、愛好者かセドリか。で、10時開場。
もちろん扶桑棚に直行してあれこれと漁るが、漱石の菊版の痛み本が安くゴロゴロ。Gケースには扶桑の目録に出ていた「内外新聞」「中外新聞」など慶応4年に出た新聞合本が出ていたり。けっこう面白そうな本もあったにはあったが、場所と資金を考え逡巡の末に戻す。ということで、11時半くらいには古書仲間と連れだって近所にご飯に行く。
その後連絡があり、ツイッタのフォロワさんとお茶。再度会場に戻ってリバースを漁り、終了。今度の青展時に古通主宰でやるイベントの打ち合わせに向かう。
で、今回購入したものは以下。

泉鏡花・登張竹風共訳「沈鐘」(春陽堂明治41年9月(奥付欠)1800円
カーペンター「文明之弊及其救治」(民友社:平民叢書5)明治26年10月10日再版800円
溝口白羊「金色夜叉の歌」(岡村書店/福岡書店)明治39年5月20日6版300円
北原白秋「思ひ出」(東雲堂書店)大正2年2月1日7版カバ800円
「沈鐘」は持っていなかったのでお安くちょうどよかったが、奥付欠は痛い。この本の奥付は周知のようにちょっとデザインが入っていて主人公が木にもたれかかっているような図が入っているのである。小口三方染。「思ひ出」は重版だが、汚れているとはいえカバー付でこの値段ならば。そして民友社の平民叢書は、今回5冊くらいまとめて棚にあったもの。本当はこのシリーズの「十九世紀之大勢」が欲しかったが、まあちょっと800円と高かったものの、これも世紀末文明論の一つかなと購入。

森鴎外「青年」(籾山書店)大正4年3月10日2版カバ欠400円
水上滝太郎「第三貝殻追放」(東光閣書店)大正14年5月13日初版凾500円
泉鏡花高野聖」(新潮社:代表的名作選集)大正14年8月18日66版200円
ウイリス「愛書趣味」(一粒社書店)昭和12年3月30日300円
今回のみっけものの一つは、この「青年」2版本。本当はカバーがついているが、これがちょっと珍しい本で、何故か胡蝶本のなかでこの「青年」のみ2版がこういう全く普通の丸背上製本。ほかの胡蝶本は胡蝶本の体裁のままで重版されているのに、何故この「青年」のみこんななのだろう、謎のひとつである。「第三貝殻追放」はとうに所持しているが、持っているのは異装凾で、今回ようよう普通の春陽堂版鏡花全集みたいな装幀の凾入本を入手。

島田清次郎「我れ世に勝てり」(新潮社)大正12年3月3日初版背欠400円
北村喜八「表現主義の戯曲」(新詩壇社)大正13年10月10日300円
島清は背欠だが、まあ読み用に。

ラジオ・ドラマ新書「アメリカ・ラジオ・ドラマ傑作集」(宝文館)昭和29年12月5日200円
三島由紀夫「英霊の声」(河出書房新社:河出文芸選書)昭和51年2月15日初版カバ帯附録300円
加藤武雄「明治大正文学の輪郭」(新潮社:文芸入門叢書)大正15年9月13日1300円
木村毅「明治文学展望」(恒文社)凾帯20円
ラジオドラマのは、実は某寺山修司作品の元ネタ本。三島のは没後版でちゃんと付録の冊子がついているがビニカバ欠。「文章倶楽部」編集長だった加藤武雄の本はネットオークション、木村毅のはマケプレで購入したものだが、ついでに記す。