漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

戒厳令下の古書生活

緊急事態宣言はまだ解除にならないようである。大阪では解除によって古書の市が開かれた由。古書店も店によっては開店している。地元のよくいく店は既に先週店を開けていた。古書目録も来るには来るが、会場ではやらず、目録のみという形のようだ。となると、目録とヤフオク、ネットに集中する。

普段小金を古書展であれこれと散財しているのがこれによって貯まるからよいとはいえ、古書は趣味のみならず仕事のネタでもあるので、いろいろと仕入れたい。そんなところに扶桑書房目録である。前に来たのはもう一ヶ月前か。あっと言う間である。遠隔仕事の準備で毎日綱渡りのような自転車操業だが、それでも古書を買う。古書を買うのが日常であるからだ。

f:id:taqueshix:20200522012124j:plain

横光利一「愛の挨拶」(金星堂)昭和2年6月15日初版凾4000円

実はこれまだ持っていなかったのである。裸本を2000円くらいでと思っていたが、凾付でこれならば安い。もちろん装幀目当てで買ったのである。これは装幀者のサインがないけれども、吉田謙吉か。扉が川端の「感情装飾」と同じテイストであることから判断した。ゴールデンバット流用のこのデザインは一応は持っておかなくてはと。

それからもう一点、これは嬉しい収穫があった。

f:id:taqueshix:20200522012058j:plain

f:id:taqueshix:20200522012108j:plain

高田浩吉歌、田中絹代台詞「春琴抄」(ポリドール)袋1000円

ネットオークションで入手したもの。これは昭和12年8月に発売されたもので、高田浩吉田中絹代島津保次郎監督の映画「春琴抄 お琴と佐助」主演者。といっても映画の封切りは昭和10年6月。なぜ2年も経ってからというのもあるのだが、「春琴抄」は映画化以前からラジオドラマやこれと同じようなレコードも出ており、新派や歌舞伎で上演され、順調に版を重ねていたというのもあろう。

で、実際聞いてみようということで、家にある祖母が使っていたプレーヤーにかけてみたが……45回転ではオバケの声のようになってしまった。基本は高田の歌で、終盤に、田中絹代が佐助お前にはこの姿を見られたくなかったがよう察してくれました…の箇所の朗読が合いの手のように入るというもの。