漁書日誌 3.0

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和洋会でてふてふ捕獲

和洋会古書展。初日。
閉場1時間前くらいに会場到着。ザッと見ていくものの、今日はいつもよりも黒っぽい本がある棚が多い印象。もうちょっと時間かけて見ていればもっとあったかもしれないし、予算の関係でなくなく手放して買わなかった本もある。で、注文品であるが、楠瀬日年「候べく候」(梅田書房)限定300部署名入4000円はハズレたが、ほか2点は当たってしまって、いいのだが、かなり使って仕舞って金欠。

菊池幽芳「己が罪 前編」(春陽堂明治44年12月27日33版
    「己が罪 中編」(春陽堂大正元年8月20日30版
    「己が罪 後編」(春陽堂)明治45年4月10日26版3冊揃5000円

注文品のひとつ。「己が罪」装幀は富岡永洗。口絵木版は、前編が永洗、中編が阪田耕雪、後編が武内桂舟。重版揃いで口絵も欠け無くまあまあの状態であればよい買い物かなと。もうだいたい流行り物であったところの小説は入手したか。「不如帰」だの「金色夜叉」だの「己が罪」だのこの辺の家庭小説近辺は元版で持っておきたかった。
それから、もうひとつの注文品。

谷崎潤一郎春琴抄」(創元社昭和8年12月初版帙欠背痛3500円
文部省音楽取調掛編纂「小学唱歌集 初編」(大日本図書)明治22年10月4版少痛500円
春琴抄」は、目録に背が切れてると書いてあったがこれまた酷い状態。「春琴抄」は背の製本テープというか製本が弱く安い場合はまあそれなりであることの明示でもあるわけだ。だから仕方ないといえば仕方ないけれども、背の製本テープを剥がした感じで見返しのみで背表紙が繋がっているという(しかもよくみると、背欠で背を墨で黒く塗っているだけ)これで3500円はないでしょ、この状態じゃせいぜい……と思ったが、しかし、ワタクシ的には価値ある本であった。というのも、あとでよくよく確認すると「初版」、「春琴抄」は手許に2冊あるが初めて入手。「何を言ってるの」と思った人はそのうち詳しく説明するのでしばし待たれよ。まあ、そういうこともあって、今回は納得がいかないが納得する。
それから、なんといっても今日ちょっとうれしかったのが「小学唱歌」である。「君が代」「てふてふ」「蛍」などが入っているが、初版は明治14年11月24日。「新体詩抄」が翌15年の発行だから、歌詞であるとはいえ、日本の近代詩歌の在り方を考える時の重要な資料であるともいえる。初版ではないが、まさか元版かと思ったらそうだったので、500円とちょっと高かったが購入。

塚本邦雄「驟雨修辞学」(大和書房)初版凾300円
塚本邦雄「定型幻視論」(人文書院)再版凾300円
井上順孝神道入門」(平凡社新書)カバ帯150円
「ポリタイア」17号特集・回想の三島由紀夫300円
塚本も、やはりこれくらいだとよい。「驟雨修辞学」が、「カデンツァ」時代の未発表歌集で安く欲しかった。「定型幻視論」は既に持っているが、安かったのでこれは線引読書用。
しかし、思わぬ出費になってしまった。趣味展でもないのに万越えしてしまって、今月はかなりの金欠。