漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

外出自粛令下の古書展

東京都では週末外出自粛要請が出た。五輪延期となってからコロナ禍はますます猖獗を極め、たとえば昭和文学会や日本近代文学会といった学会も春季の大会・例会は中止との由。古書展も本部古書会館での和洋会は中止となった。しかし南部古書会館の五反田遊古会、西部古書会館での中央線古書展は予定通り開催された。

f:id:taqueshix:20200328164404j:plain

五反田遊古会に二日目の土曜日に赴いた。2階への入口には消毒液、2階は窓があけてあり(少し寒いが)換気が意識されていた。で、もちろん注文品があったからというのもあるのだが、今回はちょっとそれ以外の理由もあった。

とはいえ、ダラダラしていたら遅くなり結局は閉場15分前くらいに会場に到着。ガレージをザーッと見てから、2階の会場へ。そこにいらした月の輪書林さんに、今回目録出品されている“コピー”を見せていただく。というのは、中央公論社の編集者で、一時期谷崎潤一郎の秘書をしていた(その後谷崎と衝突、出入禁止に)、小瀧穆(穆=あつし)の昭和20〜21年の日記のコピーが出品されており、前回趣味展の会場での立ち話で、ご厚意で見せていただけるとのことであったからである。終戦直後、谷崎の所に挨拶にいったときの記述、「細雪」出版についてかなり細かい指示を受けて困惑している様子、小瀧は荷風担当であったこともあり荷風についての記述などもあった。これはむしろその後の日記を見てみたい、こうしてコピーが出回っているということはこれ一部ではない筈だ、それはいまどこにあるんだろうかなどと思ったことであった。

で、残り5分くらいだったが、せっかく来たので会場をザッとまわる。澤口書店が黒っぽい棚で、初日には掘り出し物があれこれあったと聞く。しかしゆっくり見ている時間はなく、2点のみ。

f:id:taqueshix:20200329033407j:plain

長谷川郁夫「美酒と革嚢」(河出書房新社)カバ帯2200円

小尾俊人「出版と社会」(幻戯書房)カバ帯2500円

これは目録注文品。両方とも買って読みたかったが、なかなか相応の定価に手が出せなかったもの。安く入手できて嬉しい。

それから、会場で買った2点にくわえ、今週ネットで買った古書も記しておく。

f:id:taqueshix:20200329033808j:plain

f:id:taqueshix:20200329033505j:plain

「特別号(附)」カード11枚帙500円

サンデー毎日昭和3年300円

斎藤光次郎「青騎士前後」(名古屋豆本)昭和43年5月31日限定2380円

幸田成友「番傘・風呂敷・書物」(書物展望社昭和14年6月18日再版凾欠1260円

末松謙澄訳「谷間の姫百合(一)」(金港堂)明治21年11月14日校正再版

末松謙澄訳「谷間の姫百合(二)」(金港堂)明治21年12月21日初版、2冊揃100円

「特別号(附)」というのは何だかよくわからないのだが、おそらくは昭和初期の梅原関連で別途読者に配布された附録であろう。内容は無修正のたぶんフランスのエロチックポストカードかと思われる。この程度のものを当時秘密裏に頒布していたのかという資料として。それから「サンデー毎日」は、名越国三郎の絵のため。この辺はきりがないが。この2点が会場で買ったもの。

名古屋豆本は、今執筆している原稿のために必要で、なくなく日本の古本屋で注文したもの。これでしか見たことのない情報が出ていて、まあ元は取ったか。奥付には「名古屋豆本 別冊企画本その第1集」とあるが記番のあるところは番号がなく、限定何部なのかもわからない。発行は名古屋タイムズ気付亀山巌友の会。

あとの2点はネットオークションにて。幸田の本は書物関係でちょっと面白い記事がありそうということで。

締切目前の原稿が終わらない、確定申告まだやってない、4月からの準備等々、とてもではないけれども、家に籠もってあれこれやらなければならず、病気に罹患する余裕は一ミリとてもない。