漁書日誌 3.0

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津田青楓展から荻窪へ

コロナウイルスの猖獗によって各種イベントが中止となり(本当なら写真美術館での「クレマスター」全作上映とか予約していた)、都立図書館が閉められ昨日になって国会図書館もしばらく閉館というので滑り込みで行ってきたり。まあそういう状況であってみれば、ウイルスはどうでもいいとしても、行こうと心づもりしていたものが早々に終了してしまってはかなわない。ということで、今日はまだ無事にやっている津田青楓展に赴いたのであった。

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生誕140年記念 背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和@練馬区立美術館。ここは一昨年だったか芳年展を見に行ったところである。で、17時半入場終了で18時まで。17時半少し前に入る。

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木版画、デザインから油彩、南画など、いろいろな側面で活躍したわけで、絵画としてはやはり緑色がかった肌の特徴的な裸婦像とか小林多喜二虐殺を象徴的に描いた聖セバスチャンの殉教の様な殉死図など迫力があったが、一等の興味はやはり装幀である。漱石の後半のものとか、三重吉や松岡譲などの装幀作品、装幀下絵など興味深く見て行った。会場(図録にも)には神奈川近代から借りてきた三重吉『女鳩』の特装・総革装帙入が展示してあった。『櫛』もあったが、こちらは表紙肉筆油彩の限定20部本ではなかった。上の写真は、図録と絵葉書(装幀原画のもののみ)。

練馬区立美術館の最寄りは中村橋駅だが、駅の反対側のバス乗り場からバスで中杉通りを一直線、15分程度で阿佐ヶ谷へ。阿佐ヶ谷から電車で一駅、荻窪で下車して、今度はささま書店へ。まあ、こちらの方にせっかく来たのだからという理由以外にはない。

1時間、じっくり見て、最終的に(この金欠時に)またこんなに買ってしまう。

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西村真琴「凡人経」(書物展望社昭和10年3月20日限定500部記番凾欠800円

清岡卓行編「イヴへの頌」(詩学社)昭和46年4月12日限定1200部記番凾800円

「イヴへの頌」は今まで迂闊にも気がつかなかったが、全編肉筆で編まれた詩集である。それがちょっと気になり。記番の番号は3番で状態も良く安いからでもあるが。しかしなぜこの本は凾と本体のサイズがこんなにずれているのだろう。凾が大きすぎてスカスカ。

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それから西村真琴は、御存知、学天則西村真琴である。西村の実母の描いた絵を30枚別刷りにして貼付したエッセイ集。徳冨蘆花の揮毫、島崎藤村の序文、そして自序と、3種の肉筆が巻頭に印刷されている。凝り過ぎ。さすが書物展望社の本である。これが少し前にネットオークションに出ていて競り負けていたので、これは嬉しかった。

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ヴィトコップ他「グラン=ギニョル恐怖の劇場」(未来社)カバ帯500円

「続塚本邦雄歌集」(国文社:現代歌人文庫)400円

井口時男「批評の誕生/批評の死」(講談社)カバ帯500円

先の図録と交通費を考えるとけっこうな散財だ。