漁書日誌 3.0

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緊急事態宣言下の古書

コロナ禍による緊急事態宣言が東京に出されたのが7日、そして今日はそれが全国に敷衍されることになった。まさに戒厳令下のようである。都心郊外のうちの近所などでも20時以降はコンビニしか開いていないような状況。

古書展は軒並み中止、古書店も営業停止の区分に入ったとかで(ただし広さによる)、ツイッターなどを見ていると古書業界の戦々恐々といった状況のようである。これがあと(うまくいって)1ヶ月も続くのではたまらない。

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下町展も和洋会も、そして窓展も散歩展もみな中止となってしまった。

そして古書は。そう、こういう状況でも買うのである。一昨日だったか、ポストに扶桑書房目録速報が届いていた。いつも矢庭に来るが、閉じこもりで鬱々とした気分であったからであろう、今回ほど届いたというだけで意外な嬉しさがあったのはほかにない。この状況でさすがだなあと思いつつ封を切る。目を通し、電話。欲しいものはあった。注文。そしてすぐに届く。

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小川未明「白痴」(文影堂書店)大正2年4月1日再版凾9500円

小川未明「闇」(新潮社)明治43年11月28日初版裸印5000円

千葉春村「絵画小説 愛の力」(婦女界社、大正10年9月20日再版裸1200円

未明の2冊が扶桑目録で注文したもの。「愛の力」というのはネットオークションでの落札物である。で、「白痴」。これは前に凾欠を買っていたが、今回ようやく凾付。津田青楓の装幀(扉だけ木版)、戸張孤雁による著者肖像油絵がカラーで口絵になっている。どっしりとした本で初版は天金だが、今回入手した再版は天金ではなかった。それから「闇」は初めて実物を見る本。見返しに大きく蔵書印があるが全体的には美本。外装はおそらくはカバーかなと思われる。

それから「絵画小説」というのは、まあ挿絵が多い本なのだが大正の後半にちらほらこういうジャンル名を冠した小説が一部で出てくる。これはそのうち論文にまとめるつもり。

しかしけっこうな出費だが、まあこういう状況では(精神衛生的にも)致し方ないか。とはいえまあ、無宿渡世の非常勤としては今後収入の不安もかなりあり、出費はなるべく抑えていかなければなあとケチケチ。今後数年はいまn影響を受けていくのだろうなあと思うとまさに暗澹とするほかない。