漁書日誌 3.0

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急ぎ足の和洋会

その日は急いでいた。金曜日である。13時15分バスタ新宿発の高速バスで山中湖の三島由紀夫文学館へ行く用事があった。その前、ほんの20分程度だが、和洋会の会場に立ち寄る。というのも、目録注文品があたったからである。

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フランセス・イエイツ「薔薇十字の覚醒」(工作舎)初カバ1000円

川村花菱・山村耕花「大震災印象記 大正むさしあぶみ」(報知新聞社出版部)大正13年3月15日背裏表紙改装300円

まずは会場で買ったもの。イエイツなんて今更もいいところだが、ケチケチして買っていなかった。千円というのは今までみた最低価格。花菱が文を書き、山村耕花が50葉の挿絵を描いている「大正むさしあぶみ」は震災ドキュメント。挿絵はモノクロのものから多色刷のものまでいろいろ。

それから注文品。

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「辻留清談」無刊記2500円

これである。存在は数年前の扶桑書房目録で知った。その時は入手叶わず、以来探していたものである。改めていうまでもなく、懐石の辻留(辻嘉一)の発行だが、東京駅の大丸の地下に出店していたものを、今度銀座の文藝春秋ビルの旧館3・4階に大々的に店を出すことになり、その記念で出したものらしい(wikiだと東京最初の店が赤坂とあるが間違いか)。

志賀直哉谷崎潤一郎、里見トン、高浜虚子小島政二郎らがお祝いの言葉を寄せ、吉田茂や谷崎、志賀、吉井勇梅原龍三郎らと辻の対談などを収録している。対談はおそらく「銀座百点」掲載の再録だろうなと思う。谷崎のお祝いの言葉などは短いものだが、こちらは全集未収録で今まで知られていなかった逸文ではないか。ともかく、粗末な冊子で刊記すらないが、おそらく当時の辻留店舗で配布したものだろう。ちょっと高かったが仕方がない。

で、荷物になるので買った本は隣の郵便局からレターパックで自宅に送付して、一路新宿に向かったのであった。