漁書日誌 3.0

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師走の古書

バタバタと貧乏暇無しの日々を過ごしているうちにあっと言う間に10日近く過ぎて仕舞った。どんどんと記憶も薄れていってしまうので、記録のためにも記しておく。
まずは先週の窓展から。

真龍齋貞水講演「夜嵐お絹」(中央新聞附録)明治35年7月第10回揃200円
葛巻義敏編「芥川龍之介・椒図志異」(ひまわり社、私のノート叢書)昭和30年6月15日帙500円

吉井勇「恋ぐさ」(交蘭社)大正15年9月2日再版凾300円
西田長壽明治新聞雑誌文庫の思い出」(リキエスタの会)帯200円
泉鏡花初出合本300円

ミュージカル「ヘアー」公演パンフレット200円
「ホットドッグ・プレス」創刊号300円
いつものように朝イチに向かって開場と共に入場、ザーッと数時間まわったものだが、しかしまあこのくらい。新聞附録の講談速記はいまだに夜嵐お絹。明治も35年にもなっていまだこういうのが人気だったのか。「講談倶楽部」創刊は明治44年。この辺の通俗文学は実は王道で、もっと研究されるべきなのだろうなあ。肉筆版私のノート叢書、というのは、ほかに森田たまと三島由紀夫のが出ているが、創作ノート復刻版が段ボールの帙に入っている。鶏卵紙?の著者肖像写真が一葉ついている。限定3000部で記番。吉井のは須藤重(しげる)が装幀。鏡花のは、表紙は「新小説」で、最初気がつかなかったが、よく見ると「葛飾砂子」「わか紫」「白羽箭」そして「ねむり看守」と、木版口絵などがメインに綴じ込まれているもの。「ねむり看守」は単行本「黄櫨匂」の部分でほかは雑誌のもの。「ヘアー」のパンフは、アメリカでの初演のものか。日本では当初、興行側の松竹が寺山修司に日本版台本をオファーしたが、その過激さに却下されたらしい。で、上演したものの東京公演のみで出演者らが大麻パーティーした廉でお縄で終わったことは有名。三島由紀夫も、音楽は最高だが芝居としては最低といっていたなあ。
それからお次はここ数日、地元の古書店やらネットオークションやら。


佐藤春夫「詩の本」(有信堂)昭和35年6月25日限定500部記番外凾ソノシート付1000円
根津朝彦「戦後『中央公論』と「風流夢譚」事件」(日本経済評論社)再カバ1500円
奥月宴「天皇裕仁は二度死ぬ」1971年8月15日100円
佐藤春夫のはネットオークション。縦長の本は上製本で天金、題字と著者名が著者自筆。ソノシートが付属っていうところに惹かれて購入。「詩は本来、吟詠しもしくは愛誦すべきものであつて語るべきものではない」と序文にある。金色のソノシートだが、何が録音されているのかは一切記載が無い。

伊藤重夫「ダイヤモンド。因数猫分解」(アイスクリームガーデン)カバ帯限定950部1990円

同人誌「機関精神史」創刊号1400円
コミックは伊藤重夫の初単行本化もの。80年代の香り。そして、「機関精神史」は高山宏ものとでもいうべきか。冒頭の高山インタビューが歯に衣着せぬ発言でスコブル面白い。語られる澁澤、四方田、種村、由良らの実像も興味深い。

西法太郎「三島由紀夫は一〇代をどう生きたか」(文学通信)
著者よりご恵送いただきました。感謝。神風連、東文彦、保田與重郎、蓮田善明の四つの観点から三島の十代に鋭く切り込むもので、自ら動いて取材を重ねたうえで思考するという姿勢は書斎の研究者ではまずできないもので独自の仕事といえる。
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最近買った新書。

三島由紀夫と天皇 (平凡社新書)

三島由紀夫と天皇 (平凡社新書)

マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書 569)

マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書 569)

はじめての明治史 (ちくまプリマー新書)

はじめての明治史 (ちくまプリマー新書)