漁書日誌 3.0

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占領期二題

昨日から早稲田ではじまった「雑誌に見る占領期」展に行きたいと思い、今日はまず古書展の前にいってきてしまおう、と、神保町ではなく早稲田に向かったのであった。

9月に入り、なにかすっかり秋の空気が感じられるような気もするが、といって、まだ夏の残骸がある。歩いているとそれだけで汗が噴き出してくるような暑さ。正門前のビルの10階にそのギャラリーはあり。入って見ると客はワタクシ一人。物音はといえば、プランゲ文庫紹介ビデオが流れているのみ。福島鋳郎コレクションの雑誌がこの度早稲田に入るということでの展覧会である。終戦前後の雑誌類、ザラ紙の「週刊朝日」とか「新生」とか、ほかにカストリ雑誌などは、まあたまに古書展会場でも見るし、というものだが、今回これはと思ったのが、各地方で出されていたような雑誌。月刊栃木とかそういう類のもの。当たり前だが、戦後の出版活動は東京ばかりではない。地方のこういう仙花紙雑誌は初めて見たし、いろいろとバラエティがあって興味深かった。
で、踵を返すようにして今度は神保町。閉場20分前の愛書会古書展会場へ。ザーッと一回りして、結局2冊のみ。

成沢光「現代日本の社会秩序」(岩波書店)カバ600円
吹浦忠正「捕虜たちの日露戦争」(NHKブックス)カバ帯250円
まあ何も無かったが、「現代日本の社会秩序」はちょっと安く欲しかったのでまあよいか。一緒に写っている岩波新書は、家永三郎「数奇なる思想家の生涯」、田岡嶺雲の伝記的紹介本である。ちょいと嶺雲について知りたかったのでマケプレで購入、今日届いたもの。まあコンパクトにまとまってはいるものの、全体の調子が何が何でも反権力万歳みたいな一本調子で、まあ時代だなと思ったことであった。

こちらは、「雑誌に見る占領期」展のパンフ。会場で配布していたもの。会場展示のパネルの文章が入っている。会場のキャプションパネルを見てへえと思ったのが、左翼系暴露雑誌の「真相」は検閲を受けていたのに、右翼系暴露雑誌の「政界ジープ」は検閲無しどころか、G2のウィロビーの意向下にあったという。根拠はインテリジェンス学会の学会誌にでている論文だろうか。読みたい。それともうひとつ列んでいるのは、ネット上で評判がよさそうなので申し込んで今日届いた風船舎の目録12号・特集マッカーサーがやってきた、である。約3千点の紙ものから新聞、雑誌、単行本、パンフ、終戦前後を体験した人の日記やら手紙等々、とにかく圧巻。というのは、すべて発行年月日、版元、判型、ページ数などのデータが記されているからだ。ここまで来ると、古書目録ではあるが、資料として持っておきたいものである。