漁書日誌 3.0

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窓展五反田ダブル

久々の窓展である。近頃古書展に行けてなかったというのもあって、寝不足でドロドロながらも朝イチに列ぼうとぐったりしながらも神保町へ向かう。途中、地下鉄が客の線路立ち入りにより遅延などということがあって、結局、古書会館に着いたのは9時55分頃。もういいやと喫煙所で一服してから、ゆっくりと会場へ向かう。趣味展じゃないんだしと。
で、まずはあきつ書店の棚を見てから、みはる書房、かわほり堂、魚山堂とみていく。注文品もあるしな、と、あれこれ抱えていたのを厳選して、最終的に購入したのは以下。

生田葵「富美子夫人」(左久良書房)明治40年7月1日初版裸4500円
佐佐木信綱「明治文学の片影」(中央公論社昭和9年10月25日初版凾600円
雑誌「蒲田」大正13年6月号500円
注文品は生田葵(葵山)の本。口絵は清方。元は「富美子姫」として「大阪新報」に連載、単行本化したが発禁といった運命を辿った書物。だから元の単行本「富美子姫」が欲しいところだが、書影見たことすらない。「明治文学の片影」は明治文学関係資料として安かったので買ったが、後から小村雪岱装幀と気がついた。

田岡嶺雲「嶺雲揺曳一・二」(明治文献)帯300円
ヒストリー・オブ・アイディアズ「ルネサンス人文主義」(平凡社)カバ300円
マンディアルグ「刃の下」(ガリマール)イマジネール叢書版300円
田岡嶺雲のは「嶺雲揺曳」「第二嶺雲揺曳」の明治文献資料叢書で出た復刻合本。印影復刻で小田切秀雄の解説がついている。元から外装は帯のみ。マンディアルグのはSous la lameで、巻頭に三島由紀夫への献辞があり、イタリア・ファシズム下で三島モデル?の男が巻き込まれていく出来事を描いた小説。今日かわほり堂は、マンディアルグバタイユアルトーなどの原書が300〜800円くらいでゾロゾロあった。ガリマールのバタイユ全集の端本は買っておこうかなと思ったが、持っていたからとて何だと棚に戻した。どだい、仏語は読めない。

大橋良介「絶対者のゆくえ」(ミネルヴァ書房)カバ200円
重森弘淹「写真映像」(重森弘淹顕彰会)300円
鳥原学「日本写真史」(中公新書)上下カバ帯各200円
これらはお勉強用。重森のは新書で出す予定でポシャった原稿を雑誌に連載、単行本で出ないので顕彰会会員向けに冊子にしたものの由。
で、お会計してもらって、12時半頃か、古書会館を出る。途中、田村書店を覗きながら、神保町駅から三田経由で五反田へ向かう。今日は五反田古書展初日でもあるのだ。

まずは1階のガレージをじっくり見る。大量の雑誌。今日は月の輪書林さんが大量の雑誌を均一で出している。そこから状態の良い「新劇」を5冊。1冊200円だしもっと欲しかったが、買ってどうする、置き場所どうするという問題もあり、というか、物理的に荷物が重くて仕方が無いというのもあり、5冊のみにした。あと新書1冊。取り敢えずお会計してもらって、荷物を預け財布だけ持って近くのフレッシュネスバーガーへ。ここで友人らと落ち合い、しばらく涼んで一服。今日は天気が良く暑い。寝不足のせいもあってクタクタで、日陰で冷たいもの飲みながら休みたかった。1時間少しゆっくりしてから、会場へ向かう。
2階の会場の方でも月の輪さんのところは雑誌の山。1時間ほどじっくり見て回って、お会計。


雑誌「新劇」5冊
雑誌「映画評論」2冊、各200円
南博「社会心理 照魔鏡」(カッパブックス)カバ200円
後藤宙外「明治文壇回顧録」(河出文庫)初帯300円
江戸川乱歩訳「ポー、ホフマン集」(世界大衆文学全集)昭和4年4月3日カバ美300円
「社会心理 照魔鏡」は1956年度における種々の方面について細かく書いている本で、スコブル興味深い。「映画評論」は2階で見つけたもの。後藤宙外のは、元本凾欠を前に買って持っているが、文庫版でもと。世界大衆文学全集はカバーの付いた状態のよいものがズラズラと300円でゾロッとあったが、「メトロポリス」とかは持っているしとこれだけ抜いてきた。これ、乱歩訳ではなくって渡辺温による代訳ではなかったか。

泉鏡花「鏡花小品」(隆文館)明治42年9月1日印200円
吉屋信子花物語I」(洛陽堂)大正10年6月14日11版凾欠200円
吉屋信子花物語II」(洛陽堂)大正10年5月20日8版凾欠インク染200円
これは嬉しい収穫。文庫が積み重なっているなかに挟んであった。「花物語II」の方は表紙いインクこぼしたようなシミがあるが、「鏡花小品」も薄汚れているだけで200円はめっけものだと思う。「花物語」はこれの凾付とか、四六判のものとか持っているが、重版になってあれこれと装幀が変わる。
しかしこれ全部大きめのトートに詰めて、フラフラするほど重い。もうダメとマンキツでちょっと仮眠してから帰った。