漁書日誌 3.0

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明治学生気質

明治学生といっても、明大学生ではなく明治時代の学生という意味である。
先日届いた扶桑書房目録で注文した本が届いた。実はちょうどネットオークションでも同じような全く違う本を落札したのが届いたばかりであり、共通項が明治学生なのである。まずは昨日今日で落手した古書。

新公論社編「男女学生気質」(新公論社)明治39年3月29日印4500円
小川未明小作人の死」(春陽堂:新興文芸叢書5)大正7年2月20日再版凾欠印3500円
これが扶桑書房目録で購入したもの。未明の方は短編集。「男女学生気質」は、雑誌「新公論」に掲載された諸家の文章を集めたもので、逍遙、残花、露伴、天外、円了、宙外らが書いている。現代学生の長所と短所ということで、男女学生の堕落ぶりを嘆いたものから、当今学生の流行やらなにやら等々、興味津々の記事。ザッとみたところ、まあ昨今の学生に言われているようなことと同じような感じかなあと、百年前と似たようなところはズッと似たような感じなのかと思ったことであった。

晴川編「学生の半面 猛虎一声」(博報堂出版部)明治34年6月5日再版印500円
中島万次郎「オイケンの哲学」(アカギ叢書)大正3年6月28日6版書込262円
こちらはネットオークションで落札したもの。これの「猛虎一声」というやつである。これはどうもよくわからないのだが、「晴川」という「同人」がまとめた文集。まあタイトルにもあらわれているように、こちらはバリバリ硬派の連中が、美文調で現代の堕落学生を一喝するというような慷慨調の文章ばかりで、「所謂る文学の衰運を賀す」なんてのが冒頭の文章のタイトル。
よく見ると、「猛虎一声」も「男女学生気質」も判型は同じ文庫判、厚さもほぼ同じで、現代学生に対するアプローチをしているということで似たような本ではある。しかも、実は両方とも入手経路は違うのに同じく「寺内蔵書」の蔵書印があり、状態もかなりよい。奇しくも同じ所有者に似たような時代の似たような本を同時に別経路で入手となったわけである。しかしとりわけ「男女学生気質」は面白そうだ。