漁書日誌 3.0

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趣味展で猫つまかえた

久々の趣味展。9時半到着で30人目であった。ジリジリと開場の10時を待ち、各馬一斉にスタート。扶桑書房に群がる人人人。今日はなかなかお買い得なものがあれこれとあったけれども、無論資金には限りがあり、あれもこれも手放して以下の収穫。途中、昼食に脱けて14時半頃まで。

夏目漱石「吾輩ハ猫デアル(上編)」(大倉書店・服部書店)明治40年2月25日9版カバ欠綴穴印2500円
尾崎紅葉「紫」(春陽堂明治27年8月26日初版裸口絵欠1500円
とうとう初めての「猫」である。中村不折による挿画も入っていて綴穴以外はなかなか悪くないコンディション。それから「紫」。裸と書いたが外装を知らない。水野年方の木版口絵は残念ながら欠。付録として江見水蔭の「琴」も収録されている。

村上辰午郎「最新式催眠術」(成美堂書店)大正元年10月10日再版裸800円
小山内薫夢の浮橋」(歌舞伎出版部)昭和4年11月25日帙3500円
「最新式催眠術」はとにかく図版写真が多くて面白い。初版は明治45年2月。既に福来友吉は失脚していたと思うがこの〝科学〟がその後大正オカルトムーヴメントに接続されていくのだろうなあ。そして小山内薫。これは「新板草双紙」巻の一として刊行されたもの。帙入りの和綴本で、表紙、扉、口絵は岩田専太郎による多色刷木版画。このシリーズ、というか、これ結局一冊しか刊行されていないのではないか。この本、けっこうするものだという認識だったけれど。この本は扶桑棚ではなく他の店の棚からのもの。

「新小説」大正2年2月鏑木清方木版口絵欠800円
「午前」創刊号昭和21年6月500円
「近代情話選集」(「苦楽」大正13年4月号付録)800円
前田誠孝「罪の子となるまで」(共楽社)大正15年4月15日10版凾欠400円
大衆文学研究会編「大衆文学研究への招待」(南北社)昭和41年2月1日200円
子安宣邦「『事件』としての徂徠学」(ちくま学芸文庫)350円
「新小説」は倉田啓明が掲載されていたので。惜しくも清方の木版は欠だが、本文中の挿絵は英朋など。表紙は中沢弘光。なかに、泉秋花という名前による記事があるが、鏡花のパロディか。「午前」は真鍋呉夫なんかが福岡でやっていた雑誌。三島由紀夫ともつながりがある。「大衆文学研究」の冊子は、総目次のほかに、中島河太郎やら司馬遼太郎やら(再録かもしれないが)寄稿している。おそらく書誌からは漏れてるだろうなあ。

下山京子「一葉草紙」(玄黄社)大正3年4月25日再版凾欠1200円
小和田次郎「デスク日記」(みすず書房)37円
山崎哲+芹沢俊介「〈恋愛〉事件」(春秋社)99円
木股知史編「明治大正小品選」(おうふう)800円
福間良明二・二六事件の幻影」(筑摩書房)390円
こちらはオークションやマケプレネット古書店で今週購入したもの。「一葉(ひとは)草紙」は、ある芸者の男道楽とその体験を綴ったもので、面白そうである。「〈恋愛〉事件」というのは、歴代の銀行OL横領事件をネタにして著者二人が延々と対談するもの。
しかし、買いすぎた。漱石の元版重版本、夢二の本、明治期の雑誌等々、あれこれと手放してこれである。日夏や平田禿木のエッセイ集なんかも安くあって欲しかったのもあるのだが。ちょっと給料が入ったからといってこれだ。たちまちなくなって年末貧窮問答歌にならなければよいが…。