漁書日誌 3.0

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散歩展+ボナの三島

本の散歩展@南部古書会館の初日。注文品はない。国会図書館でめいいっぱいコピーしてから五反田へ。会場には17時過ぎに到着。まずは1階を漁る。雑誌が安かったのであれこれ抱えてしまい、これがけっこうな荷物になる。そして2階へ上がった時には既にあと15分しかないという状況。ザーッとまわるも、結局18時までには全部はまわれず。


岩波書店雑誌「文学」200円4冊
美術手帖」(1970年12月)ソノシート付200円
「群像」(1947年11月)200円
プーレ「人間的時間の研究」「人間的時間の研究第2巻」2冊揃500円
刑部芳則「洋服・散髪・脱刀」(講談社選書メチエ)840円
夜想」特集屍体初版200円
「潤一郎傑作全集1」(春陽堂)大正10年1月18日初版凾欠痛300円
上の写真が1階、下の写真が2階で購入したものである。「人間的時間の研究」は上巻の後ろの方に線引きが数頁あったが、それでこの値段ならば買いである。まあしかし、今回のみっけものは、「美術手帖」である。これは前々から安く探していたもので、ジョン・ゾーン作曲の「マルセル・デュシャンのための音楽」のソノシートが付録でついているというもの。この曲は、ハンス・リヒターの映画「金で買える夢」のための音楽という。「金で買える夢」って、そういえば10年以上前に神田のデルタ・ミラージュでやった上映会を観に行ったなあ、などということを思い出した。それから2階ではやっぱり羽二重表紙がボロボロだけれど「潤一郎傑作全集」。実はまだ一冊も所持していなかった。重版されて後につまらないクロス装の装幀になってしまうが、少なくとも初版は小村雪岱装幀なのである。
さて、その後エッチラオッチラと荷物を抱えて向かったのは恵比寿。恵比寿の画廊・シス書店にて開催中の「女性シュルレアリスト」展に行くためである。上記二枚目の写真に写っている鉢巻きしめた三島由紀夫の肖像。これがDMなのだが、これはボナ・ド・マンディアルグ作の「三島由紀夫」(1980)。キャンバスに布をパッチワークしてなおかつ上から彩色したもので、右下には落款と「ボーナ」とカタカナによる署名(!)が入っている。お値段は110万円。ご存じのようにアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ夫人のボナは、三島由紀夫の大ファンで、寝室に褌一枚の三島肖像写真を飾っていたという。旦那の方は、三島をモデルにして、ファシズム前夜のイタリアを舞台とした小説を書いている(「刃の下」白水社刊)。「サド侯爵夫人」の仏訳修辞もマンディアルグだし、前にルノー/バロー劇団が来日公演した際も一緒に来て日本で講演している。前にもこのボナの作品は銀座の椿画廊で展示されていてその時も見に行ったが、これで二度目である。デヴィッド・ボウイの画いた三島由紀夫の肖像も現物を生で見てみたいものである。