漁書日誌 3.0

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暑い一日、趣味展

趣味展初日。注文品は無い。
今日は久々に会場に早く来た。早く来たといってもいつもより一時間半くらい早く来たというだけのことではあるのだが。
それでまあ勿論、真っ先に扶桑の棚に行き、じっくりと見る。おそらくは午前中にかなり売れてしまったのだろうなあというのもあるが、初日なりにあれこれと残っている。それと雑誌、雑誌も「新小説」「文章倶楽部」「文章世界」等々欲しいものも少なくなかったが、色々と考えて手放し、ここでは以下を購入。

二葉亭四迷訳「片恋」(春陽堂明治44年5月1日4版カバ欠800円
島村抱月「近代文芸之研究」(早稲田大学出版部)明治42年6月5日カバ欠1500円
「片恋」の方は初版は明治29年11月発行で、15年後の重版だが、装幀とか変わってないのだろうか。口絵は印刷のものでちゃんとついている。ツルゲーネフの翻訳集である。それから抱月のだが、実はこれは前々から安く欲しかった。やっぱり長谷川天渓から何から、当時自然主義論を書いているが、あれこれと読んでみて、やっぱりワタクシとしては抱月の自然主義論がいちばんまっとうな気がする。前にも4500円くらいで見かけ、それは無理と思っており、今週他の店で2500円というのを見つけ、しかしちょっと待てと思っていたところだったので、これは嬉しかった。
で、その後は会場をザーッとまわる。

蓮田善明「有心 今ものがたり」(島津書房)カバ帯200円
原子朗「筆跡の文化史」(講談社学術文庫)420円
野並助「犯罪の通路」(中公文庫)200円
蓮田のは随分と安いが、これは月の輪の棚。今日はやけに安くオール200円セールなのかと思ったくらいである。そこで面白い同人誌を見つけ、片端から抱えた。以下は一冊オール200円である。


図録「エイゼンシュテイン展」(銀座松坂屋1973.4)
週刊読売」(1954.11.21)
森岩雄友成用三「日本映画史素稿別冊 活動写真大観2」「同3」(フィルム・ライブラリー協議会)
同人誌「三人」1〜7、9〜14、別冊1
週刊読売」は「アプレゲールの天才作家・三島由紀夫の百面相」という記事掲載のため。とっくにコピーは持っていたが状態もよいし。それから「日本映画史素稿」は本当は全4冊なのだが。
しかしなんといっても「三人」である。いやはや、この「三人」、前々から知っていたから、おお、と手に取りまた漁ると他にも数冊出てきたので徹底的に探した。国会図書館の蔵書検索で調べてみても、全14冊+別冊1でコンプのようで、惜しい、一冊欠けである。まだあそこに混じっているのか一冊だけ買われたのか…。昭和37年から47年までの十年間、京都の切腹研究家・中康弘通が主宰編集した同人誌で、加藤葵、大寺祐昌と三人でやっていた三人会の発行。別冊は、「中村稔」の小説特集(というかそれのみ)で、全編謄写版刷。これって詩人の中村稔とは別人だよなあ…(後日の追記:中村は中康の本名)。いやしかしまあそれにしても、「裏窓」「あまとりあ」「奇譚クラブ」なんかにも中康は執筆しているが、三島の由紀夫が「憂国」に際して面会を申し込んで云々は同著「切腹」(久保書店)で知られるとおり。こういうのも出るのだなあ。この「三人」の後継誌として1980年代中頃から「桜」という雑誌が出たようなんだけれども、そちらは見たこと無し。まあこうしてドッサリとした荷物になったのだが、全部まとめるとかなりの出費になってしまった。
その後、新刊書店に立ち寄り、ちょっと必要あって下記を購入。明日はスズナリに三島の芝居を見に行く予定。

杉浦康平のデザイン (平凡社新書)

杉浦康平のデザイン (平凡社新書)