漁書日誌 3.0

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ぐろりや会

本日はぐろりや会古書展の初日である。
今日は目録注文品があった。しかしハズレた。帰山教正「活動写真劇の創作と撮影法」3版3800円というものである。しかしまあこの本なあ、初版と再版では中身が変わっているし、おそらく再版と三版を比較検討すると幾つかまた変わっているのだろうなあと思う。無論欲しいのは大正6年7月飛行社刊行の初版。大正10年刊行の再版は増補版と称しているけれど削除・書き換え部分も確かあった筈で、出版社も正光社にかわっている。ゆまに書房の復刻版はこちらを復刻しちゃっているんだよなあ。ワタクシなどは、大正6年というその時点での記述が大切なのにナアなどと思うわけですよ。日本で最初の映画理論書などといわれていますけど、おそらくは外国書の写しだろうともいわれており、また、ちょっと後にはもっと詳しい権田保之助の本なども出ていますが。
まあそれはそれとして、閉場約一時間前に会場到着して、ザーッとまわって買ったのは以下。

太田映子編「書誌研究の会叢刊1 三島由紀夫」(書誌研究の会)1500円
雑誌「新青年」(大11・3)綴穴背痛300円
吉井勇「午後三時」(東雲堂書店)明治44年7月1日初版凾欠背焼1000円
新著百種17号「離れ鴦 ばアや 朝顔 碧流」(吉岡書店)明治24年奥付欠300円
最後の新著百種、皆さん御存知雑誌形式の単行本というか例のシリーズです。しかしまあこれ300円は安いと思ったら奥付欠。国会に所蔵無しで、あるのは宮城県立図書館。国会にもある復刻版の奥付コピーして後で挟んでおこう。ちなみに収録は、中村花痩「離れ鴦」、匿名「朝顔」、巌谷漣山「ばアや」、遅塚麗水「碧流」。おっ遅塚麗水じゃん、と購入した次第。しかしまあ匿名って誰なんだろう……もう研究者の間などでは知られた話なのだろうか。それと、戯曲集「午後三時」。吉井勇の戯曲関係はいつか安く欲しかったので嬉しい。装幀は岡田三郎助。

田山花袋「生」(新潮社:縮刷傑作文庫4)大正5年10月28日再版凾欠500円
ロンブロオゾオ/辻潤訳「天才論」(植竹書院:植竹文庫)大正3年12月16日再版(初版は12月14日)凾欠1500円
苦楽四月特別号附録「近代情話選集」(プラトン社)大正13年3月7日500円
いやあ最後の「近代情話選集」ですが、プラトン社の「苦楽」の附録としては、創刊号(大正13年1月)についていた「代表的五大名家戯曲傑作集」があって、それは既に持っているので、これでコンプかな・・・いや、「第二近代情話選集」というのがあったような曖昧な記憶。で、まあこれ、たまに見かけるんですけど、これくらいが適価ですよねえ。収録作品は、里見トン「夜桜」、薫「手紙風呂」、正雄「路傍」、鏡花「第一蒟蒻本」、潤一郎「恋を知る頃」。いや、よいラインナップです。しっかし附録はたまに見かけるのに、本誌の方はあんまり見かけず、出ていてもけっこうなお値段で手が出ません。同じプラトン社でも「女性」より見ませんが、なんででしょ。関西だとそんなことないのかしらん。
で、「天才論」。これ、既に三星社版、春秋社版、改造文庫版と所持していますが、ようよう辻潤訳初版の植竹文庫版を入手出来ました。いや、再版ですけど、これ重版している最中に版元が変わって、装幀や判型も変わってしまうのです。だから再版でも初版と同じ体裁でしょう(二日しか発行日違わないし、というか、ホントに二日後に重版したのかというのもありますが)。
いやはや、気が付くと、この金欠のさなかにけっこう買い物してしまいました。しかも、です。今日の買い物は全て今回初出展の山猫で購入したもの。朝から来ていたらもっとあったのでしょうか。今後もこんな感じで黒っぽいものをドシドシ出して貰いたいものです。逡巡したものに、鴎外訳「ファウスト」の第一部、第二部凾欠重版揃まあ美500円なんてのがありました。さすがに。
で、閉場後靖国通り沿いの古書店を流し、これを購入。

土方巽 絶後の身体

土方巽 絶後の身体

稲田奈緒美「土方巽 絶後の身体」(NHK出版)カバ帯2100円
古書でケチケチと安く探していたのです。これは快著だと思います。