漁書日誌 3.0

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雨の城南展

雨脚は強い。なにか靴の中がジトッとするような気分の中で、城南展会場に16時過ぎくらいに到着。
注文品はなし。まあじっくりと一周するも、特にこれというものはなかった。なんとなく買ったのはいつものように文庫とか選書本くらいか。

中村古峡「変態心理の研究」(大同館書店)大正13年6月24日9版(初版は大正8年11月15日)外装欠500円
岩阪恵子「画家小出楢重の肖像」(新潮社)315円
刀祢館正久「円の百年 日本経済側面史」(朝日選書)400円
長谷川卓也「猥褻出版の歴史」(三一新書)500円
松本清張「形影 菊池寛佐佐木茂索」(文春文庫)200円
大宅壮一「青春日記」(中公文庫)上下400円
「円の百年」は紙幣・貨幣はじめて物語的要素大きく、ちょっと失敗した。欲しかったのは日露戦後の不況と大正中期のバブルとその辺の経済状況を押さえてあるようなものだったのだが。まあこん中では「変態心理の研究」くらいか。アカシヤ書店3000円の値札が付いていたが、その上から別の書店の500円の値札が貼られていた。まあ500円ならねえ。とはいっても、クロス表紙が少しカビ粉っぽく変質してるし何かパラフィンでも巻かないとちょっとバッチイ感じという欠点がある。とはいえ、中身はなかなか面白そうで雑誌「変態心理」掲載の諸論文の他に幾つかの症例報告などを読み物風にしたもの。ちょうど、谷崎が短篇「私」執筆に際して参考にしたかもしれない「変態心理」掲載の盗癖少年の記事がそのまま収録されていた。まあホントはこの辺は「『変態心理』と中村古峡」が欲しいのだが、なんか今プレミア値がついているようで手が出ない。というか再版して欲しい。定価が高かったので古書で安くなどとケチケチ考えていたら、却ってプレミアついてしまって困っている一例である。

それからこれは、ちょっと読んでみたくてネット古書店やらオークションにて入手したもの。
平川祐弘「西欧の衝撃と日本」(講談社学術文庫)650円
鈴木貞美「日本の『文学』を考える」(角川選書)250円
そういえば、こないだ「谷崎潤一郎=渡辺千萬子往復書簡」(中公文庫)の渡辺千萬子署名入りを千円で入手。一度、京都のカフェに行ったことがあったのだが、店じまいしてすぐの時であった。「鍵」の初版本に署名を入れて貰いたいところである。
話は変わるが、いまCSのチャンネルネコにて映画「地上」が放映されている。吉村公三郎監督、新藤兼人脚本による島清のアレの映画化である。第一部だけだが、これ実はずっと見たかったので嬉しい。さるにても、「地上第一部」の元版の重版傷ありとか安く入手出来ないものか。元版で読んでみたくずっと探しているのだが。