漁書日誌 3.0

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雨の城北1号

結局、城北展には行けなかった。
注文品はひとつあった。

吉行淳之介「星と月は天の穴」初版カバ函帯付、森茉莉宛献呈署名入4000円

である。
お茉莉宛というのが目当てであるが、吉行の署名本も一冊も持っていなかったしちょうど良いと思ったのもある。吉行の本は、実はあまり読んでいない。余り読んではいないが初期の作品は好きなのである。十数冊は単行本を持っている筈だが、やはり初期がよく、エンタメ系は(「美少女」とか)好きになれなかった。だが「文学的放浪」や「軽薄派の発想」とかのエッセイ、「変わった種族研究」とかはなかなか楽しかった記憶がある。一応、水浸みのある「驟雨」の初版帯付きも昔買った。
で、まあ、結局、行けそうだったのだが時間的にギリギリ無理で、電話で注文品を確認すると、外れていたというわけだ。

地元の繁華街に出た。
そういえば、数日前の朝刊広告で見かけた、「南極1号伝説」という本はないかと新刊書店に赴いたが見かけなかった。いわゆるダッチワイフの歴史のような本らしい。で、帰宅後アマゾンで見てみた。

南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史

南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史

これだった。これなら、既に先週、神保町の東京堂で手にとってパラパラと立ち読みした。表紙を覚えている。なんだ、あれだったのか、と。もっと、例えば井上章一氏の本のような感じかと思って実は期待していたのだが、タモリ倶楽部のプロジェクトsexみたいな印象を立ち読みで受けた。それで、そのまま手放し購入にいたらず書名も忘れていたのである。これはこれで面白そうではあるが、今のワタクシの興味のポイントが全く違ったのだ。
大分前に、谷崎の「青塚氏の話」についてあれこれ考えていた時、あれに出てくるダッチワイフのようなもの、確かもう大正末期には日本に紹介されていたのではなかったか、昔雑誌「犯罪科学」だったか何かで読んだような気もしないでもないぞ、と、調べかけたが結局やめてしまったことがあった。そういうひっかかりがあったので、売り文句を読んだだけで、これはもしかしたらと勝手に期待してしまっていたのである。
そういえば、河出文庫では「黒死館殺人事件」が新刊として出ていた。ちょっと前には「神州纐纈城」が出ていたし、もしかして、大ロマンの復活シリーズを出してくれるのだろうか、今後。あのシリーズで、まだ橘外男「伝奇耽美館」とか未読だし、出してくれたらなあ、と思う。