漁書日誌 3.0

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コロナ禍の古書展

いままでコロナ関係で実は一度も中止ということがなかった東京古書会館での古書展であるが、緊急事態宣言を受けてか、とうとう趣味展が会場販売中止というアナウンスが出た。続いて五反田遊古会古書展も。で、愛書会はそのままやるという。

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金曜日は国会図書館入場抽選に当たりギリギリまで図書館にいたし、ちょうど土曜に都内へ芝居観に行くので、その時にでもと愛書会を少し覗く。これといって買うものもなく、なんとなく嘉村礒多の文庫本を1冊のみ。古書会館出て道路渡ってすぐのところのはなまるうどんが閉店していた。

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山本健吉編「嘉村礒多集」(新潮文庫)重帯150円

その後田村の外台など見てから、今度は中目黒へ向かう。花組芝居という劇団の「地獄変」を見に行くためである。本当は昨年7月の公演でチケットも買っていたのだが、コロナで中止となり払い戻された。で、今度こそということだったのだが、タイミングが悪すぎるような感じ。しかしネットでチェックしても、中止せず上演するようであった。中目黒なんかで下車するのも15年以上ぶりではあるまいか。チケットは席番もついておりゆったりと向かう。

花組芝居地獄変」(三島由紀夫作、加納幸和演出)@中目黒キンケロシアター

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19時開演。まず入口で消毒液、検温があって入場。中に入ってチケットもぎりは自分で。そして客席入口で再度消毒液。最前列にはフェイスシールド配布。徹底的にコロナ関連には気を遣っているのがわかる。

そして開演。実はこの劇団を観るのは初めて。歌舞伎をどうやるんだろうかと思っていたが、セリフは直さず、竹本的なものも入れるほかは(和楽器洋楽器を使った録音)、小劇場演劇。時代考証関係なく、なんというか出てくる人物ぜんぶが天守物語の妖怪のような造形というか。その割には、歌舞伎的意匠にガーゴイルの石像があったり、例の牛車が車輪は牛車そのものだが本体は西洋の貴族が乗るような馬車の意匠であったり。ところどころ笑わせながら、セリフが古語であることを考えてかテンポ良く進んでいき、ラストはタイの地獄寺のようなグランギニョル風味。いってみれば歌舞伎の新劇上演というものだろうけれども、小劇場テイスト。本作は、たしか昭和53年の歌右衛門演出以来上演されていないと思うが、こういう形でのアダプテーションは初めて観た。9日夜初見。