漁書日誌 3.0

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師走の古書

土曜日、所用で神保町に出る。扶桑事務所に向かう。棚からひょいと抜き出した『独歩集第二』、そこまで酷くはないのに300円は安いなあとみてみると、奥付欠。しかしまあ安いしと抱え、それから『漱石文集』重版も。ということで2冊を購入。

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国木田独歩『独歩集第二』(彩雲閣)奥付欠300円

漱石文集』(中央出版社)大正11年1月25日50版500円

『独歩集』が折からの自然主義ブームに乗って評価されるようになり…というタイミングで独歩が死に、死の翌月に第二として出版ということか。第二の初版は明治41年7月(国会本は19日だが、上から紙貼ってるの確認できる。つまり納本に合わせたインチキ奥付)。口絵に独歩の筆跡とか肖像があり、小杉未醒の挿絵も一枚入っている。で、もうひとつの漱石のはいくつかの作品のさわり部分を抜粋編集したもの。初版は大正6年6月15日で、今回入手した50版とは装幀も全く異なっている。しかも、である。この50版、扉のタイトルに大きな誤植がある。

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漱石文集が漱石全集となってしまっているのである。たしかに、大正6年には漱石最初の全集が発刊されるので、何か関係あるのかと思ったが単なる邪推、初版ではキチンと漱石文集とある。いい加減さゆえなのか、既に出ている全集と無知な読者に勘違いさせるための冗談のようなものなのかはわからない。

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『叢書文化の現在2 身体の宇宙性』(岩波書店)凾帯200円

こちらは帰りに澤口書店の店頭の均一をチラと覗いたらあったので買ったもの。200円ならまあという感じ。このへん、たまに面白い論考があるので。

 あとは新刊書として以下のものを購入

こんなところで2020年の古書おさめ、ということになろかなと。