いろいろと滞っていた仕事があったり、あちらこちらとしているうちに須臾と月日が経ってしまいもう三月。前にこちらで告知したトークも無事終わり、オペラも観劇しに行き、合間に古書を買ったりしていた。
で、いろいろと書くことがあるのだが、まずは仕事関係。
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まずはジュンク堂渋谷店でのトーク。ご来場していただいた方には改めて感謝申し上げます。拙い話ではございましたが、何かしら参考になれば幸甚です。
東京二期会「オペラ金閣寺」宮本亜門新演出は、初日にうかがいました。ドイツ初演、日本初演、アメリカ初演、ザ・カレッジ・オペラハウスでの上演、神奈川県立ホールでの上演、二期会宮本亜門新演出といままで6つの演出バージョンがあるわけですが、わたしはかろうじてNHKのBSでザ・カレッジオペラハウスのをテレビで見たのみ。仮にあれがスタンダードとすると、今回のものは台本も一部テキストレジーしながら、ヤング溝口を登場させるなど意欲的な解釈で、あの観念的な金閣の美をこんなふうに舞台上に出現させるのかという圧倒的な舞台をみせてくれました。
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で、仕事の宣伝のようになってしまいますが……
こちらの「オペラ金閣寺」プログラムに寄稿しています。
実は「オペラ金閣寺」上演中の東京文化会館で先行発売していましたが、三島由紀夫が昭和32年に黛敏郎の電子音楽楽譜を伴って発表した「理髪師の衒学的欲望とフットボールの食欲との相関関係」という詩+電子音楽のコラボレーションがあり、初演は一昨年でしたが、今回ようやくCDとなって一般発売されます。
ライナーノーツに三島と黛について解説を寄稿しております。限定250部なので、ご興味ある方は是非ご予約を。購入は、発売元のスリーシェルズさんの特設販売サイトまで。再版はまずないと思います。
そしてさらにまた、現在シアタートラムにて小川絵梨子演出で上演中の舞台「熱帯樹」。
舞台はこれから観に行く予定ですが、こちらのプログラムにも寄稿しております。
ご笑覧いただければ幸甚です。
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ということで、仕事の話は以上。
以下はここのところ買った古書の話。といっても、最近はあれやこれやでなかなか古書展会場にも行けず、先週だったか、たまたま吉祥寺に出る用事があり、ここまで来たのならと西荻、荻窪とまわって古書店を見て回ったり、ネット古書店やら扶桑目録やらで買ったもの。
安藤宏「日本近代小説史」(中公選書)カバ帯800円
今野真二「リメイクの日本文学史」(平凡社新書)カバ帯300円
瀬崎圭二「海辺の恋と日本人」(青弓社ライブラリ)カバ500円
吉祥寺の百年、西荻の音羽館、荻窪のささま書店をまわっての購入本。おべんきょ用のものばかり。新潮文庫のは改版初版だったので。うっかり買い逃すと帯付はなかなか見かけなくなる。
これもそのうち安くと思っていたのだが、ようやく。
「安部公房の劇場」(安部公房スタジオ)昭和54年6月25日400円
安部公房スタジオの上演年譜と舞台写真、批評などを載せた資料本。
それから、ネットでの買い物。
改造社「現代日本文学全集」第2回予約募集内容見本、揃2000円
やっぱり円本の最初のものだし、これは前から欲しかった。案外古書展の場などでは見かけなかったけれども、ネット古書店だとササッと検索できてしまう。
そして扶桑書房の扶桑書房目録速報。残念ながらあれやらこれやら、注文電話したときには既に売り切れだったが、それでもこれはというものは購入できた。
「叙情」第1輯、昭和21年6月10日発行、4500円
三島由紀夫が寄稿している終戦直後の稀覯雑誌。「しりうす」や「舞踏」に比べればまだある方なのか。16頁の小冊子だが、「三島由紀夫詩集」刊行広告が出ていたりなかなか興味深い。
坪内逍遙「小説神髄」(東京稗史出版社)上下揃題箋奥付欠4000円
まあこの辺は持っておきたかった。復刻版は持っているのだが、元版は9冊の分冊で刊行されたもの。これは上下巻に分けて和綴本で刊行されたバージョン。国会図書館の近代デジタルコレクションで確認すると、これは明治20年発行の再版ということになるらしいのだが、国会蔵書ともちょっと異なっている。写真のように見返しが元版初版の表紙をそのまま流用しているのである。上巻には「第一冊」、下巻には「第二冊」の表紙。あるいは元版初版を用いた手製本かと思われたが、いや、どうなのだろう。上下本の表紙はこの柿色の表紙でよいようだし、また違うバージョンの奥付欠本なのか。