漁書日誌 3.0

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明治雑誌の流通痕

先日の趣味展会場で購入した雑誌「国民之友」不揃10冊揃い。明治20年10月の第10号から明治23年5月の83号までばらばらなのだが、そのなかの4冊が、裏表紙になにやら傷がある。

傷というよりも、切手の破片とスタンプ痕である。
これは何だろうと思っていた。そういえば、なんだったかの本で、明治大正期は版元から雑誌などの献呈を受けても、帯封だけで現在のように封筒に入れるなんてご丁寧なことはしなかったというようなことを読んだことがある。
これは、帯封をして、帯封がずれて外れてしまわないように切手の半分を本誌に貼付して送付した痕跡なのだろう。スタンプがパシッと切れるように途中から消えているのもそれを裏付けている。

断片でよくわからないが、切手デザインにある楕円型と色、Rと5という印字から、これは明治21年に発行された〝新小判切手〟と呼ばれるもので、5厘切手であることがわかる。残念ながら消印は読めないが、表紙にこう貼付してしまうと表紙に傷がつくので、わざと裏表紙の広告面を表にして切手を貼ったのであろう。当時「国民之友」は毎月3回3のつく日に発行していたから、第3種郵便として月に3回こうして定期購読者あるいは関係者などには送付されていたということか。まあしかしこれも「国民之友」が薄いから可能であったことで、これが明治後期あたりの「中央公論」くらいの厚さになってくれば切手半分の粘着力など意味がない。
こういう痕跡から、当時の書籍雑誌流通がどうであったかというのが想像出来て面白い。明治期における書籍および雑誌流通の形態研究とかって、文学研究方面ではあるのかしらん。