漁書日誌 3.0

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和洋会から五反田

和洋会古書展、初日。15時くらい。注文品はない。そんなに期待していたかったが、今日はほとんど何もない。ザーッと一回りしてみて、1冊のみ。今日は五反田もあるしと長居せずにサクッと会計してから、神保町駅に向かう。三田線、都営浅草線と乗り継いで五反田。
五反田遊古会初日である。目録では、地下雑誌「アドニス」創刊号から10号までの合冊が3万円で出ていたが、これは売れたようであった。黒澤書店が絵葉書をドッサリ出していたが、観光名所や風景がメインのようで、ひとつだけ購入。

木幡順三「美意識論」(東大出版会)カバ800円
小野靜子「破滅の青春」(世代社)昭和昭和35年7月10日カバ帯300円
中村君代「ダンテ・ロゼッティの芸術」(東峰出版)限定凾200円
裏田稔「占領軍の郵便検閲と郵趣」(日本郵趣出版)のコピー手製本200円
三島由紀夫「午後の曳航」(新潮文庫)旧カバー200円
石原慎太郎「亀裂」(角川文庫)カバー200円
「原色写真版金閣寺拝観記念絵葉書」袋300円
「美意識論」は和洋会で購入、あとは五反田で。ロセッティの本は、確か3冊組で、既に1冊持っている。限定500部。「破滅の青春」というのも知らなかった本だが、当時週刊誌で話題になった家出少女が男を渡り歩いた末に睡眠薬自殺したという事件の当事者の手記。写真は大倉舜二。それから「占領軍の郵便検閲と郵趣」は興味深い本だが、もともとこういうコピー表紙の同人誌的なものかと思ったが、どうもこれは両面コピーして手製本したもののようであった。郵便検閲についてはこれ以上の資料はないのではないかというくらいで、面白い。
その後、帰宅して見るとネット古書店やらマケプレやらヤフオクでやらの本が届いていた。

宇野千代「罌粟はなぜ紅い」(中央公論社昭和5年11月1日初版凾3200円
小林正嗣「マルティンハイデガーの哲学と政治」(風行社)カバ3240円
石黒圭「『読む』技術」(光文社新書)100円
宇野千代は欲しかった本だが、あとはお勉強用。ハイデガーのやつは、なかなかわかりやすくてよい。ちょうど興味を持っていた「言葉の本質への問いとしての論理学」論があって読みたかったもの。
それからなんといっても「罌粟はなぜ紅い」。これは装幀に惹かれていたというのもある。東郷青児装幀。しかし、それ以上に表紙に著者の肖像をそのまま使ったものとしても欲しかったのである。表紙にドドンと著者の写真を使った装幀って、実は少ない。著者近影が口絵として入っているよりも、これはインパクト大である。タイトルと中身と著者のイメージがそのまま連結しているようなこういうタイプの装幀は、戦後のもので幾つかあるし、エッセイなんかではありそうなのだが、小説で著者生前にこういうのってなかなかない。そこそこ知名度のある作家で、こういう著者自身の写真を使った(あるいは似顔絵とか)装幀の本を御存知の方はお教え下さい。