漁書日誌 3.0

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古典会に乗り遅れ

昨日金曜日から本日土曜まで、神保町の古書会館では古典会による古典籍大展覧入札会一般下見なのであった。昨日行けなかったために今日は赴き、なぜか出ている三島由紀夫の掛け軸をみる予定であった。三島由紀夫が昭和40年に製作、主演、監督した自主映画「憂国」の際に自分で作った小道具の「至誠」という掛け軸がある。全紙にデカデカと揮毫し2メーター以上の軸として表装したもので、映画のキャメラマンであった渡辺公夫が撮影終了後に欲しいと申し出、三島はその場で為書と署名を入れて贈呈したという(確か「浪曼」という雑誌に掲載された渡辺公夫のエッセイによる)。それが渡辺宛の三島書簡と共に今回出品されているのである。一度テレビドラマの小道具として使われたことがあったようだが、こうして公に出てきたのは実質初めてであり、あの映画「憂国」のまあ記念品ともいうべきもので、目録にカラー写真が掲載されているけれども、実見しておきたかったのである。
が、手抜かり。金曜日は18時までだったので今日は17時までかと余裕をかましていたら、なんと今日は16時半で終了。確認を怠ったためにガッカリなのであった。仕方あるまい。代わりにといってはなんだが、折しも金欠戒厳令一時解除を受けて向かった扶桑書房にて、今日は平和出版社の本二冊という収穫があった。


鰭崎英朋「うた姿」(平和出版社)大正5年5月凾奥付欠3000円
泉鏡花「弥生帖」(平和出版社)大正6年4月20日凾欠背欠痛2500円
「うた姿」は奥付欠で初版か重版かもわからないが(初版なら5月8日、再版は5月15日発行)、ちゃんと鏡花の画賛もついた多色刷木版口絵もついており本体自体の状態もよく、奥付がないというだけでこの価格はワタクシにとっては御の字である。序文は春葉、和本仕立て。それから「弥生帖」。背欠でこれだけスレが酷くても、やはり腐っても鯛、腐っても「弥生帖」なのである。一生ご縁はないかなと思っていたがこれは嬉しい。(ちなみに、国会図書館蔵書は、奥付の印刷発行日が消され、新たな印刷発行日がゴム印で捺されている。大正6年4月27日付けなのだが、手続き上の問題でもあったのか、それとも…)まあしかし、平和出版社自体、その実体についてはまだまだよくわからないところが多く、社主の富岡直方(=皷川?)についてとか、誰か調査して書いてくれる人はいないものか。
それから、モールやら東京堂にて。

保阪正康「死なう団事件」(角川文庫)300円
菅原潤「弁証法とイロニー」(講談社選書メチエ)1000円
宮島英紀「伝説の『どりこの』」(角川書店)1円
「文藝春秋」2013年12月号、定価
「どりこの」本はマケプレ、文春は東京堂にて購入。どりのこの未使用実物が現在でも講談社に3本保存されているというのはこれで初めて知った次第。この本で紹介されていた、どりこのの黒ビール割りは飲んでみたいものである。姿を変えて昭和54年頃までは売っていたらしいのだが、いまはないだろうなあ、と。文春は、後輩である俊英・浜崎洋介氏のエッセイ掲載のため。村上春樹目当てではない(笑)。

以下、気になる本。

写真と文学: 何がイメージの価値を決めるのか

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愛の渇き

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絶望 (光文社古典新訳文庫)

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