漁書日誌 3.0

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鬼が来た

扶桑書房目録速報が届いたので、注文。ひとつ欲しかったのは既に売り切れていたが、一冊探求書が手に入った。

泉鏡花「相合傘」(銀鈴社)大正10年5月10日初版凾背欠5000円
佐藤惣之助「市井鬼」(京文社)大正11年10月10日初版凾6500円
両方ともパラがけしたままの写真で恐縮だが、鏡花はともかく「市井鬼」は前から適価でないものかと思っていた。これは詩集ではなく「散文集」で、具体的には短篇小説なのかエッセイなのかその中間を行くような文章を収録(短篇戯曲も二篇入っている)、サブタイトルを入れた正式タイトルは「市井鬼 又はある田舎町の最下層の物語 又非小説的な短篇少々」。前見返しが目次になっており、天青染の丸背上製本
タイトルになっている短篇(というべきか)「市井鬼」を読むと、この市井鬼(読みは「しせいき」でよかろうか)とは、まあいわば開高健が「日本三文オペラ」で描いたような日本アパッチ族の原型のような人々のことであった。犀星でも市井鬼ものといわれる一群の作品があるけれども、プロ文とはまた違った最下層へのアプローチか。

安部公房とわたし

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国語教科書の闇 (新潮新書)

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物語の哲学 (岩波現代文庫)

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