漁書日誌 3.0

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週末の琵琶歌。

扶桑書房に赴き、一冊だけ。ちょうど、読書していた本で取り上げられていて、おうそうだこれはあそこに安く並んでいたな、ということで買ってきたのである。

大倉桃郎「琵琶歌」(梁江堂)明治42年12月20日10版カバ欠1000円
いわゆる家庭小説に分類されるのだろうか。序文によれば、大倉桃郎は本名大倉国松、ペンネームは黒川白雨楼主人。兵役から帰ってきたら日露戦争勃発で、この小説を書いて大阪朝日の懸賞に応募してから招集で旅順へ歩兵軍曹として参戦。そうしたら賞金300円也の懸賞に1等になり、といって本人に連絡取れず誰が作者かと当時謎であれこれと取り沙汰されたという。口絵写真に著者の軍服姿がある。現役兵士の作ということで人気があった由。その後無事連絡取れて大阪朝日に連載、単行本化されたもの。口絵は鏑木清方だが、木版画?をモノクロでコロタイプ印刷したもの。藤村の「破戒」に先だって部落差別を描いている。