漁書日誌 3.0

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ぐろりや会

閉場5分前に駆け込む、ぐろりや会古書展初日。注文品はなし。さすがに5分では回りきれなかったが、なかに(カバーがない頃の)三一新書が帯付きでパラフィン巻かれてすべて200円でズラッと列んでいる棚があり、そこから2冊購入。

水野正次「テレビ その功罪」(三一新書)帯昭和33年3月5日発行200円
森喜一「生活費」(三一新書)帯昭和34年2月21日発行200円
島崎藤村「藤村集」(博文館)明治45年1月20日5版発行裸少痛2100円
「テレビ」はなかなか興味深い記述があれこれ。特に急速に発展したテレビによってマスコミスターが出てきたという記事での各スターたちのギャラやプロマイドの売り上げ一覧等々のデータが面白い。そしてまた当時テレビ視聴者運動なんてのがあったのも初めて知った。「生活費」は、みんな最低賃金運動やろうじゃないか的論旨なのだが、当時の経済的側面から見た生活実態なんかが種々データ挙げて提示されておりなかなかよい資料。
それで一緒に写っている「藤村集」だが、これは古書展後に池袋に移動し往来座を久しぶりに覗いて見つけたもの。外装として本来はカバーがついている。なかには17編の短篇小説が収録されており、その各々に鏑木清方による挿絵が入っている。

これは短篇「死」の挿絵。コレラの話である。明治期法定伝染病小説といえば、この「死」の他に紅葉の「青葡萄」やら郡虎彦「ペスト」などあるけれども、個人的にはやっぱり「ペスト」がベストか。当時の医療行政は警察が担当したために巡査の絵になっているわけだ。白衣の医者より腰にサーベル吊ったオイコラ式巡査の方が強制力があるし。ところで本体の装幀は清方ではないようで、表紙絵はよく見るとMWと読めそうなサインがあるのだが、誰だろう。