漁書日誌 3.0

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愛書会とサンシャインシティ大古本まつり

16時半、本部古書会館に到着。本日は愛書会の初日である。今回は、ちょっと注文していた。で、二点注文して二点とも当たった。それを確認してから家を出てきた。神保町見てから、遊古会やってる五反田に行って、それから夜八時までやっている池袋のサンシャインまわって……と三連チャンを予定していたのである。だが、なんというか、結構愛書会の会場を細かく見ていて、ふと気が付いて時計を見る既にと17時半ではないか、と。急いで会計して貰ったのだが、今回購入したのは以下の如し。

永井荷風「新編 ふらんす物語」(博文館)大正4年11月23日初版カバ欠3500円
永井荷風「新橋夜話」(籾山書店)大正元年11月20日2版凾付5500円
雑誌「夜想」特集クィーア・フィルム500円
注文した二点というのは、無論上記の荷風二冊。目録には、ヤケ、傷み、などと記されていたし価格も価格なので、実は全く期待していなかったのだが、出てきたのは思ったよりもコンディションがよい。というか、「新橋夜話」なぞは、普通他の所だったらばまあ美本のうちかなとされるだろうというものであった。だったら一緒に出ていた「紅茶の後」初版凾欠5000円とか、「突っかけ侍」初版凾欠壊3500円とかも期待出来たのかも…。
ふらんす物語」だって初版だし、この本は重版を持っているけれど、上製本としては薄めの紙表紙の角背本なので、読み込まれると小口の部分がU字型に飛び出してきてしまうのだが、これはカッチリしているし、「新橋夜話」は、胡蝶本特有の角背の痛みがほとんどない。胡蝶の柄も擦れてないし、前見返しにペン書き込みがある位である(この書き込みも、1914年12月13日、羅府第一街文林堂での福引き券で当たってこの本を貰ったので記念に記す云々書いてある。羅府ってロサンゼルスだよねえ。ということは当時留学かなにかしていた人間が現地の日本人向け書店で入手して今こうしてワタクシの手にあるという出戻り本か、と。)。初版凾欠本を今から十年くらい前に扶桑書房にて一万円で買っているので、よし、これの凾を合わせようと思う。御存知のように、「新橋夜話」は、目次には掲載されているのに集中の「五月闇」が元から削除されて出版されているが、5版になって新たに荷風の序文が付せられ「五月闇」が収録されていて、「新橋夜話」集めるならやっぱり初版も5版も持っていたいところではある。まあそこまで荷風愛好者でないけれども、安かったら今後買うかもしれない(一度ボロボロの5版を青展で拾ったのだが手放してしまったことがある。あの時手放さなければよかったか。1500円くらいだった)。
でまあ、17時半を過ぎていたので急いで古書会館を出て、走りながら神保町駅へ向かいつつ、携帯電話で乗り換え案内を調べてみると、どうも、もう五反田には間に合わないということが判明、結局諦め、田村を覗いてから東京堂へ行く。東京堂では、「車谷長吉全集」全3巻(新書館)の署名本予約承りなどをやっていた。持ってる車谷の本を全部売り払ってこれ署名入りで買うか……いや、やめておこう。その後、知人とお茶して一服、御茶ノ水駅から丸ノ内線で池袋へ向かう。まあ、サンシャインシティ文化会館というもこの古書展以外では来ないところなので、いつもちょっと迷う。結局、閉場15分前に到着。
注文していた、「小村雪岱画集」(高見沢木版社)限400部12600円と図録「谷中安規の夢」3500円はハズレた。雪岱画集、凾が付いていたのかどうかは謎だが、凾欠としたってこの値段は十分掘り出し価格だったろう。これ全部当たってしまっていてもかなりキツイことになるのでまあ良かったと云えば言えるが、そんなのは負け犬の遠吠えである。

丸木砂土「夜の話 昼の話」(明星書院)昭和5年10月19日初版裸1050円
林忠彦「文士の時代」(朝日文庫)315円
野坂昭如「文壇」(文春文庫)200円
まあ、ハッキリ言えば、ほとんど会場を回れなかった。丸木砂土のは並製本だからカバーが外装かと思うが不明。
結局、五反田に行くことは叶わず。明日は流山児★事務所の近代能楽集のマチネを観て、五反田に立ち寄ってから、渋谷シネマヴェーラ田中登の映画を観てこようと思っている。
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「日本映画レトロスペクティブ 没後四十年 映画で辿る三島由紀夫
@銀座シネパトス、4/5〜5/2
上映作品は、「燈台」「不道徳教育講座」「お嬢さん」「からっ風野郎」「肉体の学校」「獣の戯れ」「永すぎた春」「黒蜥蜴(62)」「潮騒(64)」「愛の渇き」「潮騒(75)」「音楽」「みやび三島由紀夫」「黒蜥蜴(68)」。
◎三島没40周年企画が今年は色々とありそうな。これは第一弾ですかね。でも個人的に気に入っている1971年の「潮騒」がなくてちょっと残念。