漁書日誌 3.0

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目録注文の怪

先週だったかの杉並古書展で、注文した本が一冊あった。久々に高円寺周辺に出向いてゆっくり古書でも漁ろうと思っていたのだが、その前日ちょっと徹夜酒になり翌日グダグダで出かけられず、夕方閉場間際に注文品の確認電話をした。当たっていた。申し訳ないが来場としていたのを郵送にしてくれまいかとお願いした。
翌日、知人からメールで、実は同じ本を注文し当たったので取りに行ってきた旨知らせてくれた。んん?、である。同じモノが二冊あったのかしらん……それはまだ届かない。
そして今日、こないだの池袋西武で注文した本が届いた。会場には二度赴いているのにもかかわらず。というのも、こちらは、電話で確認したらハズレといわれたモノだ。ハズレといわれたものが忘れた頃に自宅に届く……面妖な。本来抽選に当たった人がキャンセルしたと考えるのが、こういう場合やっぱり妥当なのだろう。カバ少痛という表記だったと思うが、少々どころか、表平、袖、背、裏平、袖と五つのパートにちぎれそうである、本体はあくまで状態がよいのだが。ワタクシこの本については気にならないが、あるいはこのカバーを見てキャンセルしたものだろうか。
で、その本というのはこれ。

麻生良方「詩集 青薔薇」(「壷」発行所)昭和18年12月15日発行カバー付限定200部1500円
カバーは上記のようにかなり痛んではいる(写真右がカバー)。無論著者は後の政治家麻生良方なのだが、若い頃は文学青年で早稲田で「壷」という同人誌を出していた。山岸外史序文。詳しくは同著「恋と詩を求めて」(根っこ文庫太陽社)に詳しいが、その頃、林富士馬など介して三島由紀夫とも親交あり、この麻生から聞いた話をモデルにして三島は「贋ドンファン記」を執筆している。まあそんな経緯があり今回1500円だったし注文してみたというわけだ。しかし奥付と自筆跋文の末尾以外、表紙や背表紙、扉などに一切著者名がないのはどうしたものか。因みに著者自身、戦災で焼いてしまいこの詩集を持っていなかったようだ(昭和49年の週刊新潮掲示板に書いている)。
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お次は、昨日地元古書店で購入したものである。

庄野潤三「文学交友録」(新潮文庫)290円
大江志乃夫「徴兵制」(岩波新書)200円
小松方正「悪役やぶれかぶれ」(文化出版局)500円
こういう80年代初頭くらいまでの芸能人本はけっこう面白く暇つぶしにはうってつけである。それはそうと、庄野潤三。戦時末期、および終戦直後の伊東静雄島尾敏雄らとの交友もさることながら、「舞踏」「光輝」といった同人誌周辺のことについて知りたくて買ったようなものだ。佐藤春夫邸に集まった時に、三島由紀夫が舶来ウイスキーを持参し、佐藤がそれぞれに揮毫した話など興味深く。で、先日記した徳島氏の本で刺激され、以下の本をネット古書店で1200円で購入。

終戦後文壇見聞記

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