漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

扶桑書房・近代詩集即売展

2010年9月20日(祝)@本部古書会館。先に出た扶桑書房古書目録近代詩特集号の古書展が催された。11時半開場、正午スタート。

一人展のように整理券が先着順で配布され、スタートを前に地下の会場入口に列んでいたのは四十人くらいか。一人展よりすれば数は少ないようだが、走る人もおらず静かにスタート。といっても、やはりどうしても棚は詩集に埋め尽くされている。戦前から戦後までズラリと。
で、そんななかにも小説本やら評論集やら、それも漱石や幹彦、宇野浩二やらなにやらとそういう類の本も雑然と紛れ込んでいるという感じであり、普段詩集にはあまり興味がない者にも掘り出し的な面白さがあり、そこはちゃんと考えてくれているのがありがたい。
それでまあ、前もって注文していた詩集一冊と、会場であれこれ小説本を抱えつつも、結局予算の関係で一冊だけ購入した本は以下。

高橋睦郎「薔薇の木 にせの恋人たち」(現代詩工房)昭和39年9月1日20000円
水上瀧太郎「亜米利加記念帖」(国文堂書店)大正9年7月5日初版凾2000円
目録注文品が「薔薇の木 にせの恋人たち」で、この価格はこの本の相場感覚からすればかなりの安値。当たってラッキーである。跋文・谷川俊太郎、装幀・宇野亜喜良、写真・沢渡朔。献呈「著者」サイン入り。この詩集は、いつかは手に入れたいと思っていたので嬉しい……「ああ、この詩集を三島由紀夫は送られて、読んで、なにかピンと来るものがあって著者に面会を申し込んだのか」と。しかし今、この出費は低所得者にとって殊更に厳しい。
瀧太郎のは、凾背焼け。どこにも記述はないが、明らかに小村雪岱装(たとえばタイトルロゴ、扉前の献辞頁の木版)。で、今回はじめて気が付いたのだが、凾の背および本体背には「亜米利加紀年帖」とあるのに、活字による扉および奥付の書名表記が「亜米利加記念帖」となっている。これはやはり凾や背つまり雪岱が間違えたということか。ああ、しかし金欠だ。
この詩集目録、限定発行の由、会場でまだ売っていたら…と思ったが既にすべて払拭とのことであった。