漁書日誌 3.0

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宇都宮から冥途

はなから当たる筈もなかろうと、しかしそれでもまあ一応注文したものの、もう半分忘れかけていた古書が、今日、届いていた。

内田百間「冥途」(稲門堂書店)大正11年2月10日初版凾欠2100円
山田風太郎「陰茎人」(東京文芸社)昭和29年11月10日初版カバ帯欠2100円
宇都宮東武東武古書の市目録の注文品である。稲門堂版の「冥途」など、まさか自分に当たろうとは思わなかった。いや、凾欠でもなんでも二千円というのであればこれは嬉しくない筈はない。目録には、扉ページ切れ、小口大焼、という記載があって、当初目録で見た時は、こういう値段だし、大きな印を捺した扉が無惨に半分くらい破り取られ、大焼けというのも火事か何かで炙られほとんど焦げているような、そういう状態なのではないかと勘ぐったものであった。が、扉の切れというのは写真のように左端がカッターで切ったように少し欠けていることを指しており、小口大焼けというのも、どうも、天小口の茶色染を大焼けと見たようだ。これデフォだよ・・・確か(数年前に百間書誌でそう読んだ記憶あり)。多少疲本な感じだが、扉以外にはこれといった欠点もなく、まあ掘り出しだったかなあと思う。ただ、この本は一切ノンブルというものがなく、そのためなのだろうか、乱丁本も少なくないとどこかで聞いたことがある。まだそこまでは確認していないが…。
そして「陰茎人」。これは、講談社大衆文学館の「山田風太郎奇想小説集」だったかで既に読んでいたが、「陰茎人」というモロなタイトルの単行本が出ていたというのはどこかの古書目録掲載の写真で見て知ったのであった。カバ欠だが、本体は綺麗だし、カバーを取って売ったのかも。これは、カバーのカラーコピーが欲しいところである。