漁書日誌 3.0

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第3回 扶桑書房一人展


整理券配布は午前九時頃という情報が古書組合のブログに出ていたものだから、ドロドロの寝不足にもかかわらず八時半過ぎには古書会館へ。既に数名並んでいる。最初に来た方は朝の六時過ぎにもう並んだ、という。しかしまあ予想したほどは寒くなく。九時過ぎに整理券を貰ってから、古書仲間らとお茶して、その時を待つ。古書会館においてあった宇都宮東武の目録を見る。稲門堂書店版「冥途」が二千円ちょいとか。
で、開場時間の正午を迎える。二列になって入場。一斉に開場に散らばる。本を抱える、選ぶ、抱える、選ぶ、そしてまた棚を見て回る、抱える、選ぶ……そうして、二時くらいだったか、ちょっと出て昼食。ビーフと温野菜のカレーライス。腹ごなしに田村まで行き何かあるかと見る。東京堂に立ち寄る。モールに立ち寄る。そしてまた参戦。ということで、本日の戦利品は以下の如しであった。

帰山教正「活動写真劇の創作と撮影法」(飛行社)大正6年7月25日初版凾欠5800円
斎藤緑雨「あられ酒」(博文館)明治32年2月9日再版カバ欠1000円
菊池寛戯曲全集」(春陽堂)大正10年10月2日6版凾付
菊池寛戯曲全集第二巻」(春陽堂大正13年3月18日増補12版凾付
菊池寛戯曲全集第三巻」(春陽堂大正14年4月21日初版凾付、計三冊揃1500円
田中純「文壇恋愛史」「続文壇恋愛史」(新潮社:一時間文庫)初版カバ揃1000円
堤清二「叙情と闘争」(中央公論新社)カバ帯600円
こんなところである。本当はこれに加えて、幹彦だの里見とん、朔太郎なんかのかなり安めの本を抱えていたのだが、悩んだ末に棚に戻した。明後日の新宿京王で注文したものが当たったと連絡があったから、というのもある(二つのお店に注文を入れていたのだが、片方はファクスで抽選結果を知らせてくれ、片方は電話があった)。結局店に戻したが、「蝶を夢む」初版1800円とか安いと思うが、こういうのも残っていた。森本薫「女の一生」署名入り1500円とか、岸田国士福田恆存長岡輝子宛やら、戯曲関係も署名本は売れ残っていたが戯曲集とか人気ないのだろうなあ、と。「菊池寛戯曲全集」は、羽二重で恩地孝四郎装。コンディションもよいのでうっかりと買ってしまう。「文壇恋愛史」は田中純ということで。
それからまあ、なんといっても今回特に、一等嬉しい収穫は「活動写真劇の創作と撮影法」初版であろう。これが大正10年の再版になると版元もかわり、中身も増補改訂版になってしまうのだ。現在復刻版として出ているのはこちらの増補改訂を底本としているのだが、しかし大正6年という当時、純映画劇運動というムーヴメントの勃興期その時に参照されたであろう本そのものが欲しかったのである。国会図書館にも再版以降しか所蔵してないし。ようよう、帰山のこの探求書を入手。それでまあ、写真の一番下に写っている「叙情と闘争」だけは、別に田村の外台にて購入したもの。
しかしまあ、この不況時、目録掲載の百何十万円という本がほとんど売れたというのがスゴイ。夏目筆子結婚披露宴招待状・献立一覧なんかは売れ残っていたが。そして、ワタクシ今回の一人展目録で何を注文し何を入手したのかは、当館次回のお楽しみ。