漁書日誌 3.0

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一人展(2)+ぐろりや会

先日の扶桑書房一人展目録で注文をした複数の書物のうち、なんとか当たったのは二点であった。


「潤一郎自筆本 蘆刈」(創元社)限定500部毛筆署名落款帙外凾15000円というのは、これは安いなあと思う。よく七夕などにこれ一点でドカンと出ているが、しかし最近はさすがに下落してきたようで、いま日本の古本屋など検索してみても、往時は十万円を超えていたと思うが、概ねその半額、半額以下というところのようである。この間の、11月20日21日にやった趣味展で文学堂が28000円で出していて、おおこれは安い、というか、もうこういう時代になったんだなあ、などと思ったものだが。しかしまあこれに雪岱とか清方あたりの木版画が入っていたらまた違うのであろうなあ。どちらかといえば、個人的には大正期のバタ臭い・泥絵具系の作品が好みなのだが、この本は作者自らが印刷所まで監督しにいって装幀に凝った、という意味で、書物という物体それ自体が作者による作品であろう貴重な一本という認識で居る。やはりこれはいつか入手しておかなければと思っていたので嬉しいものだ。お茉莉はアンヌ宛。
さて、本日はぐろりや会。神保町の古書会館では年内最後の古書展である。注文品もなく、会場についたのも閉場20分前、ザッと流し見しただけだが、一冊だけ。

エルンスト・クリス+オットー・クルツ「芸術家伝説」(ぺりかん社)1000円
ゴンブリッチが序文を書いている。ヨーロッパの芸術家表象関係の本。こういうのでは、「近代芸術家の表象」が欲しいのだが、なかなか高くて手が出ずケチケチと探している。
そういえば、今日古書展のあとに東京堂に立ち寄ったら、

魔術の歴史―附・その方法と儀式と秘奥の明快にして簡潔な説明

魔術の歴史―附・その方法と儀式と秘奥の明快にして簡潔な説明

これの2刷が並んでいた。十年前に出たような新しめの本だが、古書では異様なプレミア、おそらくそんな価格では誰も買わないだろう的な幽霊相場で出ていることの多い本だ。古書価に泣いていた人は今こそ。

追記
クリスマスの昨夜、帰宅後パッとテレビをつけたら、どこの局か、日本人なら読むべき小説といった作品紹介を筒井康隆がしており、それが乱歩の「孤島の鬼」で、口で粗筋を紹介しはじめたのだが、おいおい今時のテレビでどうやってシャム双とか説明するのだろうと見ていると、シャム双のことを「ダブル・モンスター」といっていた。こうこうこうなってと身振りで説明していたが、ダブル・モンスターでわかる人はいるのか…。