漁書日誌 3.0

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雨の日の池袋

豊島区舞台芸術センターあうるすぽっとにて公演中の「冬物語」を観劇。シェイクスピアの「冬物語」未読だが、舞台の完成度も高く、久々に堪能出来た舞台であった。シチリア王役の俳優の存在感が特に目立った。ユル・ブリンナーかと(禿頭だったので)。
それはそうと、未読なのでなんともいえないが、この原作。舞台のラストは、死んでしまった妃そっくりの彫像が魔法?で動きだし、話し、抱擁すると温かいというものであったのだが、こういう話であったのか。ピュグマリオンというかガラチアというか。何だか、デウス・エキス・マキナというか、彫像(ラテン語で何て言うのか知らない)・エキス・マキナというか。機械仕掛けじゃないけれども、オカルト仕掛け?か。恥ずかしながら、シェイクスピアは、「リア王」とか「マクベス」「真夏の夜の夢」とか数冊を読んだくらい。学生時代、第三エロチカだったかが「タイタス・アンドロニカス」をやって、それで、へえこんな作品もあったのか、と、おそらく文庫ではないだろうから、ということで、逍遙訳の「タイタス・アンドロニカス」と「以尺報尺」とを水色表紙の沙翁全集(文庫判サイズの上製本天金でよく古書展などで転がってるやつだ)で買ってちょっと読んだが途中で放り出してそのままというのがあった。馬脚丸出し。
で、ちょっと読みたくなって、新潮文庫であるでしょう、と、終演後に新刊書店に立ち寄って探したが、これがない。じゃあ角川か、と、思いきや、角川では数冊のみ。そういえば、と、白水Uブックスであった……のだが、たまたまその店では冬物語の巻のみ売り切れていた。


まあそんな話はどうでもよいのだが、上記のような雑誌を、劇場に赴く前に新刊書店にて購入した。
立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター発行の「大衆文化」創刊準備号、税込500円。乱歩の原「二銭銅貨」(大正9年構想分で中絶)直筆原稿カラー写真付き本文復刻というのが目玉だろう。ほかにも幾つか論文が掲載されているのだが、そのひとつに、「市川昆の『こころ』」という、表紙にも見える論文が掲載されている。表題でも本文でも、〈市川崑〉ではなくって〈市川昆〉と表記されているのだが、何か故あってのことなんでしょうか。もしかして、市川崑ではなくって市川昆が正しい表記?なのか。注記もなにもないし、無知なワタクシにはよくわかりません。
「こころ」の映画化作品は、新藤兼人のと、ATGでやった「君は裸足の神を見たか」くらいしか見ていません。後者は、洞口依子が出ているやつですが、確か最初は「二つの輪」とかいうタイトルの「こころ」の脚色ものだった筈です。これの俳優オーディションに出たことがある人から聞いたことがありました。まあ三角関係のもつれで自殺というのは同じですが、かなり、というかまったく違うお話しになっています。新藤兼人のもよく覚えていませんが、何故かラスト、猛烈に崖をのぼる(ロッククライミングみたいな)シーンのみ印象的に残っています。でも漱石だったら、森田芳光のがありますが、そうではなく現代化した「それから」とか、もっとあってもよさそうな感じですがねえ。