漁書日誌 3.0

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新刊ではない本三冊

仕事の帰りに新刊書店にて、三冊購入。

トーマス・ド・クインシー「阿片常用者の告白」岩波文庫
同「深き淵よりの嘆息—『阿片常用者の告白』続編」同
増補改訂版「谷崎先生の書簡」中央公論新社

ド・クインシーのは、前々からそのうち余裕のあるときにでも、と、思っていたのが、つい先頃2刷が出たようで、目に付き、続編共に購入。こういうのが品切れしたらまた困るし。
文庫用の新訳かと思ったら、どうも「トーマス・ド・クインシー著作集」の時のもののようである。とはいえそれでもありがたい。「トーマス・ド・クインシー著作集」は、大学時代に出ていて、まあ高いので買わず図書館に入れて貰って読んだ記憶がある。確か、白地のクロスに、紫と金のボーダー、緑と金のボーダーとか、おそろしく趣味が悪い装丁と思えたので、これはわざわざ貯蓄して買って…というよりは、正直こんなの書棚に置きたくもないなあ、と、自分が特に読みたかった「芸術の一種としてみた殺人について」のみコピーして、それを自分で製本して読んだりしていたのを思い出す。

ついでに「芸術の一種として見た殺人について」も文庫化してくれぬものか。谷崎潤一郎が、戦前「犯罪科学」に連載していた翻訳は、途中で頓挫未完だし。
そういえば、今回の新訳文庫についても、以前この岩波から出ていたものを持っているはずだ。戦前の、ちょっと背の高い岩波文庫で初めてド・クインシーを読んだのであった。確か、「阿片吸引者の告白」というタイトルだったと思うが、戦後の新潮文庫でも確か翻訳が出ていて、そちらでは「阿片のみの告白」というタイトルだったような気がする。あとは戦前の改造文庫で出ていた辻潤訳か。辻訳だと「阿片溺愛者の告白」である。
話は変わるが、岩波の翻訳ものといえば、ポルト・リッシュの「過去」とか復刊してくれないかなあ。誰も読まないか、あんな古くさい戯曲は。


明日は神保町で古書展。目録に、吉行淳之介「暗室」初版函帯、安部公房宛献呈署名入り5000円というのが出ていて、実は少し逡巡したのだが、結局諦めて注文しなかった。売れているだろうなあ。吉行のサイン本は一冊くらいは欲しい。