漁書日誌 3.0

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パリでの三島シンポジウム

11月20日、昼過ぎ。羽田よりエールフランスでパリへ向かう。現地時間20日18時半頃にシャルルドゴール空港着。タクシーでホテルへ向かう。ホテルにて、トマ・ガルサン、竹本俊雄、ジェラール・シアリの主宰各先生とご挨拶。そこにジョン・ネイスン先生が奥様と一緒にいらっしゃる。そのまま近所のカフェに飲みに行く。

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翌21日。ホテル近くの会場であるパリ大学(=パリ・ディドロ大学=パリ第7大学)へ移動。国際シンポジウム「50Years Later, Another MISHIMA?」初日。まずはジョン・ネイスン先生の基調講演。続いて、井上隆史先生の発表、そして3番目がワタクシの発表Mishima Yukio’s "self-image" – Who controls it?。その後コーヒー・ブレイクを挟んで、お昼過ぎまで発表が続き、お昼は関係者一同で大学関係のレストランでランチ。当然のようにワイン、みな飲んでいる。そして14時からまた発表が続き、コーヒー・ブレイクを挟んで17時まで。その後、一旦ホテルに戻り休んでから、18時半よりレセプション。立食パーティー。フランス、ドイツ、イタリア、アメリカ等々よりの三島研究者が集まっているが、日本語が出来る人が多く助かる。しかしビックリしたのは、大学のトイレは男女兼用だったことなど(完全密閉の個室でそれぞれ個室に電気スイッチがある)。

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22日も9時半より発表、コーヒー・ブレイク、発表、レストランでランチ、発表、コーヒー・ブレイク……17時くらいまで。今日は個人発表ばかりでなく、最近『仮面の告白』の新訳を出されたドミニク・パルメ先生の講演、イルメラ・日地谷=キルシュネライト先生の基調講演、英語、仏語、イタリア語訳の訳者3名によるパネルなどぶっ通しで続く。あいまに、ネイスン先生にMISHIMA, A Biographyハードカバー版初版にサインを入れて貰う。本来なら米国初版に入れて貰いたかったが、ワタクシが所持しているのはUK版初版。

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その後、ホテルに戻り一休み。さすがにくたびれる。夕食の時間まで、近所の売店で買い物をしてみたり、本屋を覗いたりうろうろと徘徊した。最近プレイヤッドの1冊として出たロマン・ガリのポスターの横に今回のシンポジウムのポスターが出ていた。漫画のコーナーは日本のものばかり。

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19時に集合して、今度は少し歩いたところにあるレストランへ皆でいく。そこで食べ飲み、歓談。ちょうど席が隣り合うソルボンヌに留学している中国人の学生さん(「憂国」中国語訳の訳文について研究発表)とパルメ先生とあれこれと話す。プレイヤッドで三島が出る計画もあったらしいが頓挫した話とか、三島を離れて、ガリマールの話からロマン・ガリの愛人の話、マンディアルグやマルセル・シュオッブの話なども振ってみた。

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23日、シンポジウム最終日。9時半より平野啓一郎氏の基調講演(ビデオ上映)。コーヒー・ブレイクを挟んで4本の個人発表のあと、総括的討論。最後の討論では、三島における暴力性やテロリズム天皇論などの話題も出て盛り上がりを見せた。使用言語は主に英語だったが、個人発表ではフランス語使用の人も数名。12時半過ぎ、終了。基調講演3、個人発表16、パネル1、という塩梅。「文化防衛論」や、「愛の処刑」にからめた発表もあった。

 

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レジュメ冊子とプログラムのリーフレット

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プログラム

その後、近くのカフェでランチ。帰りの便は夜半近くのもので、その間の数時間、あれこれと聞いて一人でパリの中心部へ出てみることにした。もとより観光するつもりはなかったが、せっかくだしと地下鉄でルーヴル、オペラ座のあたりをブラブラとフラヌール。スマホはあれどワイファイがなければネットは使えないし、そうなるとスマホはただのカメラでしかない。観光客で混雑している中に紛れたり、適当にブラブラしながら、裏通りの地元民が行くようなスーパーなど見て歩いたり。古本屋の情報も調べてくればよかったのだが失敗した。

その後ホテルに戻ってからシャルルドゴールへ、そして夜半近くのエールフランスで帰途に就く。日曜の夜中に出て、日曜の夕方に羽田着。

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大学近く、文学者の名前がついた通りの看板。この辺は新しく開発された地域らしく、元々は広い停車場の一部だったらしい(ゾラの「獣人」なんか思い出した)。会場からはセーヌ川も見えるが、近くにはマンションだか建築現場があちこちに目についた。

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そして今度は三島由紀夫文学館である。三島由紀夫文学館創立20周年記念フォーラムが11月30日に開催。高橋睦郎さんの特別講演「『詩人』三島由紀夫」と、続けて田村一行さんら大駱駝艦の面々による舞踏パフォーマンス「ハグクミ申ス者〜三島由紀夫に捧ぐ」の上演(田村さんは宮本亜門演出「金閣寺」に出演された方で、実はワタクシの大学時代のクラブの後輩)。こちらも素晴らしかった。本来は10月に開催予定が台風で延期になったものだが、それでも50名近くの参加者が集まった。スタッフとして参加したが、文学館のフォーラムでこうしたパフォーマンスは初である。

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