漁書日誌 3.0

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季節外れの無花果

紙魚展、初日。
といっても閉場一時間前に会場到着。金欠でもあるし、なるべくお金は使わない方向でいたのであるが。今日は昼間暖かな日差しだったが風が冷たく、夕方になって空気が湿っている感じ。
で、ザッと見ていくが、初っぱなのおどりば文庫という店の棚がゴチャゴチャ古いものが混じっていて面白い。ここだけで30分くらい見てしまっていたか。だから後の方は駆け足になってしまい、今日は古書赤いドリルの棚も随分と黒っぽい本が混ざっていて面白そうだったのだがよく見られず失敗した。

東宝現代劇「春の雪」パンフ200円
復刻版「風俗画報」臨増第5回内国勧業博覧会200円
思潮社35周年記念」(思潮社)300円
桜井哲夫「『戦間期』の思想家たち」(平凡社新書)カバ帯200円
思潮社のは、非売品で記念に配布されたものか。現代詩文庫の総目次、「現代詩手帖」創刊号からの解説、詩壇ジャーナリズム側面史の3部構成。それから、赤いドリルの棚で見つけたのが「無花果」である。

中村春雨「無花果」(金尾文淵堂)明治35年12月10日6版背激痛200円
200円は安い。それもそのはず、背中がボロで綴じているステープラーがとれてしまって本体は真っ二つなうえに、表紙がとれてしまっているのである。要修理物件。でもまあ、中村春雨こと吉蔵のデビュー作(大毎懸賞一等受賞作)であるし、前から安かったら欲しかったのでよいか。一條成美装幀、口絵。これ日露戦争あとくらいに改版されて、装幀もまるきり別のものになる。黄土色のクロス装、菊版丸背上製で多色刷木版口絵になっていた筈。元本である今回の口絵は単色の石版印刷?のようである。初版外装付(というかこの本はおそらくカバーついていたのではないかと思うけれども不明)ならまだしも、重版外装欠であるなら、へたをすると木版口絵ということで改版本の方が古書価がついているのかもしれない。
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友人の装幀家・真田幸治氏が論考「『雪岱調』の萌芽と挫折—小山内薫『鏡台前』の挿絵」を、日本編集者学会『エディターシップ』4号に発表しました。今まで雪岱挿絵であることすら言及されることのなかった「鏡台前」を掘り出し、挿絵分析と同時代の雪岱の動向から従来にない雪岱論を展開しています。

エディターシップvol.4

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最近気になる新刊。
人形の文化史―ヨーロッパの諸相から

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異端と孤魂の思想  ー近代思想ひとつの潮流ー

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宮城聰の演劇世界: 孤独と向き合う力

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夢二と久允:二人の渡米とその明暗

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Silent Histories

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怪物的思考 近代思想の転覆者ディドロ (講談社選書メチエ)

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妖怪・憑依・擬人化の文化史

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美学 (講談社学術文庫)

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