漁書日誌 3.0

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池袋リブロ大古本市など

金曜日は用事で神保町に行けず、今日も又ぐだぐだしていたら17時を過ぎそうであったので、行き先を池袋に変更。既に先月31日から始まっていた池袋リブロ大古本まつりに赴く。注文品はないし、金欠でもあるので控えたいなあと消極的であった。あれこれ買いたいものはあったものの、まあ今はやめておこうと結局買ったのは三冊のみ。

富田英三「ゲイ」(東京書房)昭和33年6月17日再版カバ帯525円
中井正一評論集」(岩波文庫)350円
村松梢風「女経」(中公文庫)150円
バート「近代科学の形而上学的基礎」(平凡社)カバ3000円
山口果林安部公房とわたし」(講談社)定価
上記三冊が会場で購入したもの。富田の本は、当時風俗的に流行したゲイバーを取材したもので、一種のルポのような感じ。ここにケニーという人が大々的にフューチャーされているが、この人、後に寺山修司の「毛皮のマリー」に出演した人ではなかったか(「星の王子さま」だったかも)。他にも数冊抱えていた本があったのだが、資金を考え棚に戻したり。ゆっくり見ていたら、会場全部見るのに3時間もかかってしまった。21時で閉場してから、そのまま地下のリブロに行き、今日は買うぞと思っていた「安部公房とわたし」を購入(これ用の予算もあったので買い控えていたのだ)。安部公房と付き合いだした頃のものであろうか、ジャケ写が現代風美人である(著者に対するワタクシのイメージは中年以降なのでこの写真は正直新鮮)。また驚いたのは、口絵写真である。なんと安部公房が撮影したであろう著者のベッド上の全裸写真が出ており、これがかなりのインパクト。よくぞ出してくれた書いてくれたという気がするし、書くなら書くで有無をも言わせぬものに…となっているのだろうと思う。他にも新潮社の編集者に関する情報もあったりして興味深く、即読了した。文中で触れられている、著者が安部公房と交わした録音テープ交換日記の破棄していないテープ3本(芸術論や三島を語ったものなど)は、編集の上公開される可能性もあるのだろうか。安部との子の堕胎や安部のガン闘病の顛末、そしてまた本妻との関係など、ここいらへんの話は研究者の間で従来どのくらい知られていたものなのか……は知らないが、これをきっかけに没後二十年安部公房リバイバルが更に盛り上がって欲しいものである(いつかは安部公房が監督した「時の崖」などの映画を見たいのである)。
「近代科学の形而上学的基礎」は、前々から安めに探していた本で、予算ギリギリで出ていたのでうっかりオークションで落札したもの。これでちくま学芸とかからすぐ出たらイヤだなあ(と思うが、こういうことはいうと現実化しちゃうのでもういわない)。

これは去る7月27日に明大前の宇宙館で開催された「黙壺子フィルムアーカイブ・トリビュート佐藤重臣追悼イベント」に赴いた際の会場写真。ジューシンさんの追悼イベントで、当時を知るスタッフの方のトークなども交え盛況だった。ワタクシは生まれるのが遅くリアルに黙壺子は体験していないのだが、後年の会場であったアートシアター新宿(ジュク)には数回(初期のオルガンヴィトーなど)アングラ芝居を観に行ったことがある。

安部公房とわたし

安部公房とわたし

国語教科書の闇 (新潮新書)

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