漁書日誌 3.0

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愛書会+遊古会

さて、昨日赴けなかった古書展である。
まずは愛書会。注文品は一点、これが当たった。

ジィップ(森茉莉訳)「マドゥモァゼル・ルゥルゥ」(薔薇十字社)初版凾2000円
福田恆存「人間・この劇的なるもの」(中公文庫)初カバ100円
澁澤龍彦三島由紀夫おぼえがき」(中公文庫)初カバ帯200円
雑誌「TH」特集ドール630円
注文したのは「マドゥモァゼル・ルゥルゥ」。帯欠だが適価と思う。これ四、五年前くらいまでは帯付きで4000円くらいの書物だったと思うのだが、何故か理由はわからないけれども近頃数万円とかわけのわからない篦棒な古書価で見かける。何故だろう。ガーリッシュものとして人気が出てきたのかもしれないが、ひとつ古書店がかなり当て込んだ高価な価格でネットに出すと、皆それを参考に値付けするので右にならえでこんなありえない相場が形成された、とかいう事情があるのではないかなあとなんとかの勘ぐりをしている。もの凄い相場価格で数件出るだろうけれども、全く売れないのでは……。前にも買って持っていたが、背焼けのコンディションが今回の方がよいのでこれは取り替え。そういえば、会場の棚でやけに舟橋聖一の本がズラリと出ていたのがあった。皆300円くらいだったのだが、実は1950年代に出た舟橋の小説本で一冊欲しいのがあり、あるかなあと思ったがそうは問屋が卸さぬようで。でまあ、15時半過ぎくらいに会場に到着したのだが、グズグズしていたら会計済ませ古書会館を出たところで16時半前くらいになってしまう。
急いで地下鉄半蔵門線神保町駅から半蔵門線にて渋谷に出て、渋谷から山手線で五反田へ、と、思ったら、なんと人身事故にて山手線上下ともストップ。おおー今乗れていれば閉場10分前くらいには開場に到着するのに……と焦るも、無理。仕方なく、銀座線で新橋まで出て都営浅草線にて五反田を目指そうなどとやっていたら、結局五反田駅に到着したのが17時半頃。無論とっくに閉場なのだが、閉場時間ちょい前に品物だけ引き取りに行く旨電話しておいたので、会場バラシの途中お邪魔して品物を引き取り会計してきた。こちらでは、ハルオ・シラネ他「創造された古典」(新曜社)1500円、別冊太陽「探偵怪奇のモダニズム」(平凡社)1300円をほかに注文していたのだが、それらはハズレ。

五反田で注文したのはこれ。
印南清「馬術読本」(中央公論社)初版函帯5000円
これは三島由紀夫が序文と装本を担当しているもの。序文だけだったら、別にわざわざ買わなかったと思うのだが、装幀案を三島がやっているというので購入。この時期ちょっとキツイが。自著以外で、三島がこういう装幀関係をやっているのは他にないしなあ、と。いや、題字というのはある。吉田健一の「三文文士」とか。購入した店のご主人は、当時この本の出版記念会に参加したそうで、その時の話など少し伺ったりした。
で、それから駅前の茶店で一服し、今度は渋谷へ。今日はシネマヴェーラ渋谷の特集・緑魔子にて、映画「僕は天使ぢゃないよ」と「非行少女ヨーコ」を見てきた。特に後者は前々から見たいと思っていたもので、というのも劇中ワンシーンだけ寺山修司が出演しているからだ。睡眠薬遊びのヨーコを中心とする若い連中がジャズ喫茶で飾ってある抽象画をナイフで破ったりするシーンに寺山は寺山の役で出ており、「絵を壊しても何も壊したことにはならないよ。そんなことなら毎朝ラジオ体操でもした方がいいよ」的な台詞を話しており、その訛り加減やら、若い寺山の喋っている姿などに、おお、などと思って見ていた。