漁書日誌 3.0

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金曜日に

本日は、神保町では愛書会、五反田では遊古会と初日であるのだが、結局間に合う時間には外出出来ず。注文品を電話で確認したのだが、ことごとくハズレ、一点のみ。ここで前々回のようなことを書いたから、ハンドウを回されたか(松本清張「遠い接近」参照)。
ということで、地元繁華街にある古書店へ。

夏目漱石「坊ちやん」(春陽堂大正4年2月10日6版200円
伊藤整「小説の認識」(河出新書)昭和30年7月30日1刷カバー200円
服部龍二広田弘毅」(中公新書)350円
こんなものを買う。それで漱石のものだが、これ、表紙、背表紙、奥付の表記では「坊ちやん」で、本文冒頭および末尾のタイトル表記は「坊っちやん」である(「坊っちゃん」ではない)。ウウム。で、これ、前にもどこかで記したが、元々はヴェストポケット傑作叢書の装幀と全く同じ。しかしこれは、その叢書名の入った扉頁がまずない。奥付にも叢書名の記述がない。だからまあある種、春陽堂文庫が出る以前の縮刷廉価版的なものとして使われていたのだろうなあと思う。しかもこの本には、扉がない代わりに木版口絵が入っている。しかも、だ。その口絵の次には、春陽堂による一言挨拶が入っており、「鶉籠」からこの作だけを取り出して刊行するのは読者の希望に添うためだといっている。そりゃ当時、元版の重版は勿論、縮刷版もあったし、だが、このシリーズは定価がやけに安い。縮刷でも高いなあと思う人向けの廉価版的位置づけだったのだろうなあ。ちなみに初版は、大正3年11月18日。